新型コロナワクチン “接種から一定効果までに10日から2週間”

新型コロナウイルスのワクチンの接種を受けた医療従事者の1人で、ことし2月に1回目の接種後に感染が確認されました。

ワクチンの専門家は「1回目のワクチン接種から免疫が働くまでには10日間から2週間はかかる」と話し、接種のあとも感染対策を続けるよう呼びかけています。

厚生労働省の研究班によりますと、ことし2月下旬にファイザーのワクチンの接種を受けた20代の女性が、新型コロナウイルスに感染したと医療機関から報告がありました。症状は改善しすでに退院しているということです。

報告が入ったのは、女性が1回目の接種を受けた6日後で、接種後に感染した可能性が高いとしています。

新型コロナに限らずワクチンは効果出るまでに一定の時間が

新型コロナウイルスのワクチンに限らず、ワクチンは人の免疫反応を引き出すことで効果を得るため、接種してから実際に効果が出てくるまでには一定の時間がかかります。

このうちファイザーとビオンテックが開発した新型コロナワクチンでは、去年行われた臨床試験の結果が論文にまとめられています。

それによりますと臨床試験ではワクチンの接種を受けた人と「偽薬」と呼ばれる偽の薬を投与した人との間で、新型コロナウイルスに感染し、発症した人数の増え方の違いを比べています。
その結果、1回目の接種からしばらくはワクチンを接種した人でも偽薬を投与した人でも発症した人の数は同じペースで増えています。

ところが1回目の接種から12日たったころからは、偽薬を投与した人では変わらずに発症した人が増えていきますが、ワクチンを接種した人では増え方が緩やかになり、その後はほとんど増えなくなっています。

論文によりますと、1回目の接種から2回目に接種するまでの期間ではワクチンの効果は52.4%だったということです。

また、2回目の接種を受けてからさらに7日間たった以降の効果は94.8%だったということです。

専門家「接種しても安心してあちこち外出していいわけではない」

ワクチンに詳しい北里大学の中山哲夫特任教授によりますと、ファイザー製のワクチンなどの「mRNAワクチン」では最初に体内でたんぱく質が作られ、それによって免疫細胞が働くまでに一定の時間がかかるということです。

中山特任教授は「1回目のワクチン接種から免疫が働くまでには10日間から2週間はかかるとみられ、それまでは免疫応答は何も出ておらず、感染防御能はまずない。そこから少しずつワクチンの効果が出てくる。2回目の接種から1週間ぐらいして中和抗体ができることで感染や重症化を抑える強い免疫になる。一方で、ワクチンは2回接種したとしても必ずしも100%感染を抑えるわけではないので安心してあちこち外出していいわけではない。油断してはいけない」と話しています。