米 財務長官 主要国間で法人税率の最低税率設定すること提唱

アメリカのイエレン財務長官は、各国が企業を誘致するために、法人税率を競い合って引き下げてきたことが逆に国の税収基盤を弱らせていると指摘し、主要国の間で共通の最低税率を設定することを提唱しました。

これはイエレン財務長官が5日に、オンライン形式で行われた経済フォーラムで明らかにしました。

この中でイエレン財務長官は「世界では30年間にわたって法人税率を引き下げる競争が行われてきた」と述べ、各国が企業を誘致するために競い合ってきた法人税率の引き下げが、逆に国の税収基盤を弱らせていると指摘しました。

そのうえで「最低税率の導入によって、グローバル企業への課税をより公平に行うことが、世界経済の発展につながる」と述べ、引き下げ競争を止めるために、主要国の間で共通の最低税率を設定するよう提唱しました。

アメリカのバイデン政権は先に発表した巨額のインフラ投資の財源を確保するために、法人税率を引き上げる方針を示していて、今回の発言はこうした国内の事情も踏まえたものとみられます。

イエレン財務長官は日本時間の7日、予定されているオンラインによるG20=主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議でも、国際的な税制の枠組みについて言及する見通しです。

麻生財務相「いい流れ 一歩前に進んだと理解」

アメリカのイエレン財務長官が、主要国の間で法人税の最低税率を共通で設定するよう提唱したことについて、麻生副総理兼財務大臣は、各国が進める国際的な新たな課税ルールの議論に、プラスの材料になるという認識を示しました。

世界各国に展開して利益をあげる巨大IT企業などに対する新たな課税のルールについて、OECD=経済協力開発機構の加盟国を中心に137の国と地域でつくるグループは、各国で導入する法人税の「最低税率」の水準などについて、ことし半ばまでの合意を目指して議論を進めています。

こうした中、アメリカのイエレン財務長官は、5日に開かれたフォーラムで、主要国の間で最低税率を設定するよう提唱しました。

これについて麻生副総理兼財務大臣は、6日の閣議のあとの記者会見で「法人税の引き下げ競争を止めるためにもいい流れだ。イエレン財務長官の発言で解決に向けた動機が出てきたことは一歩、前に進んだと理解すべきだ」として、新たな課税のルールの議論にプラスの材料になるという認識を示しました。

一方で、麻生大臣は「国際課税に関しては百何十の国を相手に議論している。『これでまとまった』と言えるほど、単純な話ではない」と述べ、議論がまとまるには、一定の時間がかかるという見通しを示しました。