日中外相電話会談 茂木大臣“深刻な懸念を伝達” 中国はけん制

茂木外務大臣は中国の王毅外相と電話で会談し、海警局に武器の使用を認めた「海警法」の施行などの覇権的行動や、新疆ウイグル自治区をめぐる人権問題などについて深刻な懸念を伝え、具体的な行動を強く求めました。

電話会談は、中国側からの申し出で、5日午後6時ごろからおよそ1時間半にわたって行われました。

この中で茂木外務大臣と王毅外相は、日中両国がともに責任ある大国として、地域や国際社会に貢献していくことの重要性を確認したうえで、来年の日中国交正常化50周年に向けて、幅広い分野で交流が進むことに期待を示しました。

一方で茂木大臣は、中国が海警局に武器の使用を認めた「海警法」を施行するなど、東シナ海や南シナ海で海洋進出を強めていることや香港情勢、それに新疆ウイグル自治区をめぐる人権問題について深刻な懸念を伝え、具体的な行動を強く求めました。

また、会談では、新型コロナウイルス対策や気候変動問題で対話を深めていくとともに、北朝鮮の非核化に向けた連携を確認し、国連安保理決議の完全な履行の必要性で一致しました。

さらに、ミャンマー情勢をめぐっても意見を交わし、茂木大臣が、暴力の即時停止や、関係者の解放、民主的政治体制の早期回復などを軍に強く求めていく方針を伝え、事態の解決に向けて国際社会で連携していくことを確認しました。

これに関して中国外務省は5日夜の発表で、双方は東京オリンピックと北京の冬のオリンピックの順調な実施を互いに支持し、王外相が日中国交正常化50周年を機に両国の国民感情の改善に努力したいという考えを示したとしています。

その一方で日本側が香港や新疆ウイグル自治区など中国の内政に介入することに反対したとした上で「日本はアメリカと同盟関係にあるが、中国とも平和友好条約を結んでおり、履行する義務がある」と伝えたとして、日米の対中国での連携強化の動きをけん制しました。