ワクチン接種 進んでいない国 感染者急増に歯止めかからず

新型コロナウイルスの世界的な感染状況をみますと、アメリカをはじめ、ワクチン接種が進む一部の国ではかつての日常を取り戻そうという動きが加速しています。一方、ブラジルなどワクチン接種があまり進んでいない国では感染者の急増に歯止めがかからず、厳しい状況です。

アメリカ・イギリス

アメリカでは、新型コロナのワクチンの接種が急ピッチで進んでいて、少なくとも1回受けた人が1億人以上に上り、人口のおよそ31%となっています。

バイデン大統領は、当初、政権発足から100日間で1億回のワクチン接種を目指すとしていましたが、先月25日、この目標を前倒しし、100日間で2億回の接種にする考えを表明しました。

こうした中、CDC=疾病対策センターは、2日、ワクチンの接種が完了した人は自主隔離や検査なしに国内を旅行できるとする指針を発表しました。

また、アメリカでは、近く、アストラゼネカのワクチンが承認される見通しですが、政府の首席医療顧問を務めるファウチ博士は1日、ロイター通信に対し「アストラゼネカのワクチンが承認されても、もう必要ないかもしれない」と述べるなど、ワクチンの供給量に対する自信を示しました。

ヨーロッパではイギリスのワクチン接種のペースが速く、少なくとも1回受けた人が3000万人余り、人口のおよそ46%です。

直近の感染状況をみますと、1日当たりの死者数は10人で、ことし1月には最大で1800人余りが亡くなっていたのに比べて格段に改善しています。

ブラジル

一方、ワクチンの接種が進んでいない国では、感染者の急増に歯止めがかからず、厳しい状況です。

このうちブラジルでは、3日の時点で、接種を少なくとも1回受けた人は、1600万人余りで、人口の7.7%にとどまっています。

1日当たりの新たな感染者数はおよそ4万3500人、24時間でおよそ2000人が亡くなっていて、医療体制が崩壊の危機にひんしています。

ロイター通信は、ブラジルの保健相が、ワクチンの生産量を増やすため、ペット用のワクチンを作っている施設の活用も検討していると伝えています。

インド

また、インドでは、2月下旬から感染が再び拡大していて、4日新たに発表された感染者は9万3249人と、第1波のピークだった去年9月の水準に近づいています。

とくに、商業都市ムンバイのある西部マハラシュトラ州は、1日の感染者がおよそ5万人と深刻な状況です。

インドではことし1月からワクチンの接種が始まり、少なくとも1回の接種を受けた人は6400万人に上りますが、13億の人口に占める割合としてはおよそ5%にとどまっています。

インド政府は、感染の急拡大を受けて、今月1日から接種の対象を45歳以上のすべての人に拡大して、ペースを上げようとしています。