中韓外相会談 朝鮮半島非核化実現に向け協力拡大で一致

中国の王毅外相は3日、韓国のチョン・ウィヨン(鄭義溶)外相と会談し、朝鮮半島の非核化の実現に向けて協力を拡大していくことで一致しました。米中の対立が深まる中、アメリカの同盟国である韓国との関係を強化し、バイデン政権をけん制するねらいもあると見られます。

中国の王毅外相は、就任後初めての外国の訪問先として中国を訪れた韓国のチョン・ウィヨン外相と3日、南部、福建省のアモイで会談しました。

会談の冒頭、中国の王外相は「韓国と協力し、対話を通じて朝鮮半島問題の政治的解決のプロセスを推し進めたい」と述べました。

これに対し、チョン外相は先月、弾道ミサイルを発射した北朝鮮への対応について「朝鮮半島の平和プロセスが実質的に進展するよう、中国が建設的な役割を果たすことを求める」と述べ、協力を求めました。

韓国外務省によりますと、会談で両外相は、朝鮮半島の非核化の実現に向けて協力を拡大していくことで一致しました。さらに、習近平国家主席の韓国訪問などの実現に向け、協力していくことを確認したということです。

また、中国外務省によりますと、両外相は「2プラス2」として、外交や安全保障に関する次官級の対話をことし上半期にも行うことで合意したとしています。

アメリカのバイデン政権が中国包囲網ともいえる動きを強める中、中国としてはアメリカの同盟国である韓国との関係を強化し、けん制するねらいもあるものと見られます。

王毅外相 米バイデン政権に対抗する姿勢鮮明に

中国の王毅外相は、韓国の外相との会談に先立ち、先月31日から今月2日まで、ASEAN=東南アジア諸国連合に加盟するシンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピンの4か国の外相を、それぞれ韓国の外相と同じく南部・福建省に招き、会談していました。

中国外務省によりますと、王外相は各国の外相に対し、ミャンマー情勢をめぐり、ASEANが原則としている内政不干渉の順守を支持すると伝えたということです。

またフィリピンの外相に対しては、ミャンマー情勢をめぐる国連安全保障理事会の緊急会合について、ミャンマーの主権を損ない事態をさらに複雑化させる不当な介入を避けるべきだとも伝えたとしています。

欧米諸国がミャンマー軍に厳しい姿勢を示し、武器の禁輸などの制裁を求めているのに対し、中国はロシアとともに反対していて、同調するよう求めた形です。

王外相はこのところ、ロシアや中東各国、それにASEAN諸国などの外相と会談を重ねていて、アメリカのバイデン政権による中国包囲網とも言える動きに対抗する姿勢を鮮明にしています。

専門家「中国 アメリカとその同盟国にくさびねらう」

2015年まで上海総領事を務め、中国やアジアの国際関係に詳しい東京大学大学院の小原雅博元教授は「今、米中は全面的な戦略的競争の時代に入っていて、アメリカのバイデン政権は、同盟諸国との結束を全面に出す外交を行っている。これに対して中国は、アメリカと、アメリカが関係を強めようとしている国の間にくさびを打ち込みたいと考えている」と指摘しました。

そのうえで「中国は、先日もASEAN諸国の外相を招いたほか、中東や東欧を訪問するなど、積極的な外交で仲間作りを進めている。まさに現代の合従連衡で、激しい外交合戦が展開されていて、今回の中韓の外相会談はそれに含まれる」と分析しました。

一方、こうした中国の動きが地域に与える影響については「米中のはざまで、多くの国が難しい立場に置かれることになる。アメリカとの間では安全保障の利益がある一方で、中国との間には経済的な利益がある。中国は巨大化する市場と経済援助を使い、こうした国々に揺さぶりをかけていて、まさにアメとムチだ。多くの国が中国を選ぶのか、アメリカを選ぶのか難しい選択を迫られている」と指摘しました。

また小原氏は日本の役割について「日本がどのような外交を展開するかが地域にとっても非常に重要になり、役割が問われることになる。日米同盟を堅持しながら中国との関係を悪化させず安定した関係を維持するという難しい外交が求められる」と話していました。