大阪 新型コロナ患者急増 医療の現場は危機感募らせる

大阪で新型コロナの患者が急増するなか、医療の現場では、危機感を募らせています。

大阪 吹田市にある大阪大学医学部附属病院では新型コロナの重症患者用の病床を10床、確保しています。

先週末から受け入れ要請が相次ぎ、2日も新たに1人の入院が決まって、ほとんど満床の状態となっています。

大阪大学医学部附属病院集中治療部の内山昭則副部長は「重症患者は症状がよくなるのに最低でも1週間はかかるのでこのペースで増えるとすぐに満員になる。第3波の時より増え方の立ち上がりが早く、このままでは第3波のピークの人数を超えるのではないか」と述べ、危機感を示しました。

病院によりますと新たに受け入れた重症患者は50代から60代がほとんどで、内山副部長は「70代や80代が多かったこれまでと比べて若い人が多い。高齢者施設内などではなく、普通に生活している中で感染しているので、かなりまん延している印象を受ける」と話しています。

病院がさらなる病床のひっ迫につながるおそれがあると心配しているのが変異ウイルスです。

国が定めた基準では変異ウイルスに感染した人が退院するには24時間以上空けて2回、PCR検査を行い、いずれも陰性となることが条件です。

回復して一定の期間が過ぎれば退院できる、従来のウイルスに感染した人よりも厳しくなっています。
この病院では、重症患者用の病床を空けるため、これまでは症状が落ち着き、人工呼吸器が外れた患者は中等症の患者を受け入れる病院に転院させていました。

しかし、変異したウイルスに感染した患者が増えると、基準が厳しいため、なかなか退院できなくなる事態が考えられるということです。

内山副部長は「転院先の病院でなかなか患者が退院できなくなると患者の退院のサイクルがうまくいかなくなり、結果として、病床が足りなくなるおそれがある」と懸念を示しています。

感染急増で「病床運用率」が急上昇

新たに新型コロナウイルスへの感染が確認された人の数が増えていることに伴って、大阪府内のすぐに入院できる病床の数とそれがどれだけ埋まっているかを示す「病床運用率」も急上昇しています。

大阪府内の病床運用率は、緊急事態宣言が解除された後の3月中旬までは低下する傾向が続き、一時は▽重症病床が29.8%、▽軽症・中等床の病床が25.4%まで下がっていました。

しかし、3月下旬から上昇傾向に転じ、1日は▽重症病床が61.5%▽中等症・軽症病床が53%にまで上昇しています。

特に重症病床の運用率は先月25日の時点では35.5%で、1週間でおよそ25ポイント上がっています。