感染者 1週間平均「まん延防止措置」地域中心に拡大傾向顕著

新型コロナウイルスの新規感染者数を1週間当たりで見てみると、「まん延防止等重点措置」の適用が決まった大阪府や兵庫県では前の週の2倍を超え、感染の拡大傾向が顕著になるなど、43都道府県で前の週より増えています。

NHKは各地の自治体で発表された感染者数を元に、1週間平均での新規感染者数の傾向についてまとめました。

全国では、先月4日までの1週間では前の週に比べて0.98倍、先月11日は1.05倍とほぼ横ばいで、1日当たりの新規感染者数は1000人余りでしたが、先月18日は前の週の1.10倍、先月25日は1.22倍、4月1日までの1週間では前の週の1.44倍と感染の拡大が顕著になっていて、1日当たりの新規感染者数は2000人を超えています。

1週間平均での新規感染者数が前の週より増えたのは43都道府県で、全国各地で感染が拡大する傾向が見られます。

「重点措置」適用決まった大阪では

「まん延防止等重点措置」の適用が決まった大阪府は、緊急事態宣言が解除される前の2月25日までの1週間では前の週に比べて0.77倍、先月4日は0.94倍でしたが、先月11日は1.06倍と増加に転じました。

その後も、先月18日は1.40倍、先月25日は1.57倍、4月1日までの1週間では1日当たりの新規感染者数が400人を超え、前の週に比べて2.39倍と増加に歯止めがかからない状況となっています。

兵庫は

また、兵庫県は2月25日までの1週間では前の週の0.58倍でしたが、先月4日は1.03倍、先月11日は1.23倍、先月18日は1.66倍、先月25日は1.24倍、4月1日までの1週間では1日当たりの新規感染者数が150人近くとなり、前の週に比べて2.07倍と感染が急速に拡大しています。

宮城は

宮城県では、先月初めまで1日当たりの感染者数は1週間の平均で10人未満と少ない状態が続いていましたが、先月11日には前の週に比べて2.06倍、先月18日は1.85倍、先月25日は1.87倍と急増しました。

4月1日まででは1.14倍と増加のスピードは下がっていますが、1日当たりの新規感染者数は130人を超える水準になっています。

東京 神奈川 埼玉 千葉は

先月21日に緊急事態宣言が解除された1都3県のうち、東京都は先月11日までの1週間では前の週に比べて1.01倍と横ばいでしたが、先月18日には1.09倍、先月25日には1.08倍、4月1日まででは1.16倍、1日当たりの新規感染者数は370人余りで増加傾向となっています。

また、神奈川県は先月11日には前の週に比べて0.94倍、先月18日は0.92倍、先月25日は0.95倍、4月1日まででは1.10倍で増加傾向となっています。

埼玉県は先月11日には前の週に比べて1.08倍、先月18日は1.09倍、先月25日は0.94倍、4月1日まででは1.11倍で増加傾向となっています。

千葉県は先月11日には前の週に比べて0.84倍、先月18日は0.95倍、先月25日は0.98倍、4月1日まででは1.05倍で増加傾向となっています。

1都3県全体では、先月11日には前の週に比べて0.98倍、先月18日は1.03倍、先月25日は1.01倍、4月1日まででは1.13倍と、増加傾向となっています。

2月末で宣言解除の愛知は

2月末で緊急事態宣言が解除された地域のうち、愛知県は先月11日には前の週に比べて0.86倍、先月18日は0.97倍と横ばいでしたが、先月25日は1.46倍、4月1日まででは1.27倍と、増加傾向になっています。

2月末で宣言解除の福岡は

福岡県は先月11日には前の週に比べて1.00倍、先月18日には1.15倍、先月25日は0.86倍、4月1日まででは0.87倍となっています。

感染拡大傾向の山形などは

また、緊急事態宣言の対象ではなかった地域で、感染が拡大しているところがあります。

「まん延防止等重点措置」が適用される宮城県の隣の山形県では、先月中旬まで1日当たりの感染者数は1週間の平均で1人前後と少ない状態が続いていましたが、先月下旬以降、急増し、先月25日までの1週間には前の週に比べて7.65倍、4月1日まででは1.25倍と感染の拡大が続いています。

同じく「まん延防止等重点措置」が適用される大阪府の隣の奈良県では、先月下旬まで1日当たりの感染者数は1週間の平均で10人に満たない水準でしたが、4月1日までの1週間ではおよそ35人となり、前の週に比べて2.89倍と急増しています。

愛媛県では、先月25日までの1週間では1日当たりの感染者数は前の週に比べて16.57倍と急増し、4月1日まででも1.75倍と増加が顕著となっています。

沖縄県では、先月11日までの1週間では前の週に比べて1.12倍、先月18日は1.49倍、先月25日は1.75倍、4月1日までは1.58倍で、1日当たりの感染者数は80人余りとなっていて増加傾向が続いています。

専門家「大阪や兵庫 第4波に入ったと考えてもよいのでは」

日本感染症学会の理事長で、東邦大学の舘田一博教授は「大阪府や兵庫県では急激に拡大しており、第4波に入ったと考えてもよいのではないか。首都圏の1都3県よりも早く緊急事態宣言が解除されたことに加え、暖かくなって人々の移動や会食などの行動が活発になるなどして、感染が拡大した可能性が考えられる。イギリスで広がった感染力が高いとされる変異ウイルスが多く出ていて、さまざまな要因が重なって感染を急激に広げているのではないか。また、宮城県も1日当たり130人を超える感染者が出ており、隣の山形県とともにしばらくは注意する必要がある」と話しています。

そして、首都圏については「東京都も先月中旬から感染者数が増え続けていて、町なかのさまざまなところで感染の火種がくすぶっているとても心配な状況だ。2、3週間後には大阪府や兵庫県と同様に感染が一気に拡大するおそれがある。今後の感染状況を見ながら『まん延防止等重点措置』の適用など、どれだけ速やかに感染拡大を防ぐ適切な措置が取れるかがポイントになる」と指摘しました。

さらに、舘田教授は変異ウイルスの対策について「変異ウイルスの感染状況を知るには、検査の割合を政府が示す40%程度にまでは引き上げる必要があると考えられる。また、単に検査をするだけでなく、検査の結果を疫学調査に生かすなど、感染拡大を防ぐ対策に生かすことが必要だ」と話しています。