コロナ禍の入社式 各地であの手この手の感染対策

新年度を迎え、企業や官公庁では新型コロナウイルスの感染防止に向けて、さまざまな工夫をこらして新入社員を出迎える様子が見られました。

都庁で「入都式」 参加は代表の4人のみ

東京都では、新入職員に辞令を交付する「入都式」が、新型コロナウイルスの感染防止のため多くの新入職員がオンラインで出席する形で開かれました。
東京都は、この春、教員や警察官などを除いて1691人を採用しました。

新型コロナウイルスの感染拡大前はほぼすべての新入職員が出席して入都式を開いていましたが、ことしは感染防止のため参加は代表の4人だけ。

多くの新入職員はオンラインで出席しました。

小池知事は「今、新型コロナウイルスとの闘いという未曽有の難局に直面していますが、チーム一丸となって乗り越え、『成長』と『成熟』が両立した明るい未来の東京を切り開いていくことが私たちの役目です」と激励しました。
新入職員の代表の伊達美希さんは、「人が輝く未来の東京を作り上げていくために都民に寄り添う熱い気持ちと行動力を持ち続け、誠心誠意、職務を全うすることを誓います」と抱負を述べました。

式のあと、新入職員の澤山早紀さんは「これから新しい生活に柔軟に対応して、手本となる人物になれるよう、責任を持って行動していきたい」と話していました

パナソニックでもオンライン中心

不採算部門からの撤退を進め、構造改革を行っているパナソニックでも、入社式が行われ、津賀一宏社長が新入社員に柔軟な発想で挑戦を続けるよう呼びかけました。

パナソニックにはことし900人が入社しました。
入社式はオンライン中心で行われ、大阪 門真市の本社には新入社員を代表した8人が出席しました。

津賀一宏社長はビデオメッセージで「われわれはもっと将来のある会社になろうとさまざまな変革に取り組んでいる。皆さんはみずからの強みを絶えず磨きながら挑戦を重ねていただきたい」と述べ、柔軟な発想で挑戦を続けるよう呼びかけました。

パナソニックは業績が低迷していて、液晶パネルや半導体の事業など不採算部門からの撤退を相次いで打ち出すとともに大がかりな組織再編に向けて構造改革を進めています。

9年にわたり経営トップを務めた津賀社長はことし6月に社長を退任することになっていて、若い世代に会社の未来を託しました。

式の終了後、新入社員の濱田大輔さんは、「世界中で必要とされる人材に成長したい」と話していました。

デジタル技術で一体感を

入社式をオンラインで行った企業の中には、新入社員がより一体感を持てるようにと、最新のデジタル技術などを活用する動きもあります。

IT大手のサイバーエージェントがオンラインで行った入社式は、藤田晋社長のあいさつを3次元のCGで作成した桜の木の背景と合成してリアルタイムで配信しました。

およそ200人の新入社員らが臨場感のある映像でトップのあいさつを視聴しました。

オンラインでもより一体感を持てるように、新入社員が意気込みのコメントを入力できるようにしたり、社員どうしがパソコンの画面に顔をうつして集合写真を撮影する時間を設けたりしました。

新入社員の彦坂真一さん(23)は「オンラインの入社式だったが同期ともビデオでつながっていて一体感を持つことができた。このような状況でも入社式を開いてもらえたことに感謝したい」と話していました。

「ハイブリッド型」も

去年、オンラインで入社式を開いた東京の会社は、より温かみのある式にしたいという2年目の社員からの提案を受けて「ハイブリッド型」と呼ぶ入社式を開き、新入社員や経営陣はオフィスに集まり、先輩社員はオンラインで参加して門出を祝いました。
東京 目黒区のコンサルティング仲介会社「ビザスク」は、去年、新型コロナウイルスの影響で入社式をすべてオンラインで実施しました。

去年の式について、2年目となる社員たちから入社した実感がわかなかったという声が上がったということで、会社はことし、対面とオンラインを組み合わせて開くことにしました。

オフィスに新入社員7人と経営陣など合わせて25人が集まり、120人の先輩社員は自宅などからオンラインで参加しました。

新入社員は一人一人、端羽英子代表取締役から社員証書を受け取って抱負を述べると、会場に設けられたモニターには温かい拍手を送る先輩の姿やお祝いのメッセージが映し出されました。

新入社員の小泉成史さんは「対面で証書をいただけけて、オンラインではいろいろな人が迎えてくれることを感じられました。両面あるからこそのいい入社式でした」と喜びをかみしめていました。

式の司会を務めた2年目の本山未奈海さんは「去年はオンラインだったのでちょっと不安な気持ちもありました。入社式の実際の雰囲気と社員の温かみを感じてほしいと思い、みんなで試行錯誤しながら話し合いました」と話していました。

密を避けスタジアムで

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、仙台市の企業は、密を避けるためサッカースタジアムを会場にして新入社員の入社式を行いました。
仙台市に本社があり、電気設備の工事などを手がける「ユアテック」は、例年、本社のホールで入社式を行っていますが、感染拡大を受けて密を避けるためことしは、仙台市泉区のサッカースタジアムで入社式を行いました。

新入社員125人は、緊張した表情で入場すると、スタジアムの観客席に間隔をあけて着席しました。

そして佐竹勤社長が、「皆さんは未来への大きな可能性を持っています。高い志と誇りをもって会社の歴史を作り上げてください」と呼びかけました。

これに対して新入社員代表の日名晴輝さんが「地域の人々がよりよい快適な生活を送れるように貢献したい」と誓いのことばを述べました。

新入社員たちは1日から施設に宿泊して研修を受けますが、その期間は例年の半分ほどの2週間に短縮され、今月中旬には各地の配属先で働き始めるということです。

入社式に出席した助川絵音さんは「新型コロナで例年と違うことばかりでいろいろな制限がありますが、社会人として責任のある行動をしていきたいと思います」と話していました。

約4分の1の企業がオンラインを活用

ことしの入社式でオンラインを活用するか、民間の調査会社がアンケート調査を行ったところ、76%は対面のみで行うとした一方、24%は活用すると回答しました。オンラインを活用する企業は少数派となりましたが、新型コロナウイルス対策で去年よりも大きく増えたということです。
調査会社の「ディスコ」はことし1月から2月にかけて、全国の企業を対象にインターネットでアンケート調査を行いました。

それによりますと、入社式を開くと回答した941社のうち▽対面のみで行うとした企業が76%だったのに対し▽会場に集まる人とオンラインで参加する人の両方がいる「併用」の形式が17%▽オンラインだけで実施する企業が7%でした。

ことしオンラインを活用する企業は合わせて24%となり、調査方法が異なるため単純に比較できないものの、7%だった去年よりも大幅に増えたということです。

また、ことしオンラインを活用する割合を企業の規模別で見ると▽従業員が300人未満では12%なのに対し▽1000人以上は38%で、規模が大きいほどオンラインを取り入れる傾向が強くなっています。

ディスコの武井房子上席研究員は「去年は対応が間に合わず入社式を中止するケースもあったが、ことしはオンラインでスムーズに開催できる環境が整ったため、活用が進んだ」と話しています。