内戦長期化の中東イエメン 新型コロナワクチンが初めて到着

内戦が長期化して医療体制が崩壊状態にある中東イエメンに新型コロナウイルスのワクチンが初めて到着し接種が始まることになりました。ただ、電力インフラや物流網の荒廃など課題は多くワクチンの普及には時間がかかるものとみられます。

イエメンではハディ政権と反政府勢力フーシ派との間で6年以上内戦が続いていて、医療スタッフが国外に流出するなど医療体制が崩壊状態にある中ことし2月以降、新型コロナウイルスの感染の広がりが確認されています。

こうした中、政権が拠点を置く南部アデンに3月31日、新型コロナウイルスのワクチン36万回分が航空機で到着しました。

到着したのはWHO=世界保健機関などが主導するワクチンの公平な分配を目指す「COVAXファシリティ」のもとで供給されたワクチンで、イエメン国内にワクチンが到着するのはこれが初めてです。

イエメン政府は近く接種を始めることにしていますが、6年以上続く内戦の影響でワクチンの温度管理に不可欠な電力インフラや物流網が荒廃していてワクチンの普及には時間がかかるものとみられます。

イエメン保健省の担当者はNHKの取材に対し「感染拡大の懸念は高まっており、太陽光発電などを使いどうにかワクチンを各地に供給させたい」と話していました。