アフリカで活発化 中国「ワクチン外交」 提供で関係強化目指す

新型コロナウイルスのワクチンをめぐって、先進国などに比べて途上国での確保や接種が出遅れている「ワクチン格差」が課題になる中、アフリカでは中国がワクチンの提供を通じて関係強化を目指す「ワクチン外交」を活発化させています。

アフリカ中部の赤道ギニアには、先月10日、中国政府から国有の製薬会社「シノファーム」が開発したワクチン10万回分が届けられ、首都マラボの国際空港には、政府高官が参加した歓迎式典が開かれました。

人口140万人のうちこれまでにおよそ7000人が新型コロナウイルスに感染した赤道ギニアは、中国から無償でワクチンを提供されたアフリカで最初の国となり、式典でオバマアスエ首相は「ワクチンの援助に感謝している」と述べました。
その後、国内各地で医療関係者や高齢者などを優先にした接種が始まり、保健当局によりますと、27日までに1万人近くが1回目の接種を終え、このうち、ヌゲマ大統領を含む2400人余りが2回目の接種も終えたということです。

接種を受けた28歳の男性は「ワクチンを提供してもらい中国へのイメージはよくなった」と話していました。

中国はアフリカ有数の産油国である赤道ギニアに接近し、大量の石油を輸入する一方、政府の支援で外務省の建物を建てるなど、密接な関係を築いています。

巨大経済圏構想「一帯一路」を通じて、アフリカへの進出を強める中国にとって、ワクチンを提供することで新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けているアフリカ経済が回復すれば、大きな利益が得られるという判断があると見られていて、中国はこれまでにアフリカの35か国にワクチンの提供を始めていて「ワクチン外交」を活発化させています。

赤道ギニア保健相「中国製が最良だと判断」

赤道ギニアのヌズエミラン保健相は、首都マラボでNHKのインタビューに応じ、中国から中国製のワクチンの援助を受けたことについて「友好国として中国とは、インフラ整備などさまざまな分野で協力関係にあり、ワクチンの供与はその延長線上にあるものだ」と述べ、歓迎しました。

また赤道ギニアとして「中国以外にもブラジルやロシアなどとも交渉を進めた。しかし、中国で早期にワクチンの接種が開始されたことを受けて、中国製が最良だと判断した」と交渉の経緯を明らかにしました。

一方、ヌズエミラン保健相は供与された10万回分については無償で援助されたものだとしたうえで「今後さらに200万回分を購入したいが、手始めに50万回分を購入する交渉を進めている」として、今後は中国からワクチンを購入することになるとの見通しを示しました。

また、一部で中国製のワクチンの安全性や品質に対して懐疑的な見方があることについて「ワクチンに対する懐疑的な声は何も中国製にだけ向けられているものではない。大統領や大統領夫人などが率先して接種していて、今後もワクチン接種の必要性を訴えていく」と述べました。
中国は国内で新型コロナウイルスワクチンの大規模な接種を進めていて、中国政府は29日までの接種回数は、延べ1億1000万回以上にのぼるとしています。

その一方で、中国はワクチンを各国に積極的に提供する「ワクチン外交」を展開していて国営メディアは、連日のように途上国や新興国で接種が始まったと伝えています。

中国外務省は30日の時点で、80か国と3つの国際組織に援助し、40か国余りに輸出するとしているほか、ワクチンの公平な分配を目指す国際的な枠組み「COVAXファシリティ」にも1000万回分を提供するとしています。

中国がこれまでに提供しているのは、主に東南アジアやアフリカ、中南米、中東欧などの国々でこのうち、アフリカ各国については王毅外相は、今月7日の記者会見で「アフリカの35か国にワクチンの提供を始めている」と述べています。

中国メディアは、中国製のワクチンは、2度から8度という温度で保管できるため、輸送や保管も容易で途上国も導入しやすいと伝えていて欧米製のワクチンが浸透していない国々に提供し、影響力の拡大を図るねらいもあるとみられます。

一方、王外相はこうした協力の背景に政治的な思惑があるという指摘については「ワクチンをめぐる協力を政治問題化しようとするいかなるたくらみにも反対する」と述べて反論しています。