大都市の鉄道 変動料金制の導入検討 議論本格化へ 国土交通省

大都市の鉄道の運賃が大きく変わる可能性が出てきました。混雑の緩和などを目的に、曜日や時間帯によって運賃を変える仕組みの検討を国土交通省が始めるためで、今後、導入に向けた議論が本格化する見通しです。

国土交通省は、交通政策の今後の方針となる計画の策定を進めていて、29日の会合でその素案を示しました。

この中で大都市の鉄道の混雑を緩和するため曜日や時間帯によって運賃を変える「ダイナミックプライシング」と呼ばれる仕組みの導入を今後、検討することを初めて盛り込みました。

この運賃の仕組みは、国内ではすでに航空や高速バスに導入されていて、利用者が多い週末よりも平日の料金を安くするなど、需給に応じて柔軟に変更できます。

大都市に路線を持つ鉄道の事業者も、混雑緩和のため「ダイナミックプライシング」の導入を検討していますが、鉄道の運賃を決められた上限より引き上げる場合、国土交通省の認可が必要です。

今回、国土交通省が導入に向け検討する方針を示したことで、今後、鉄道会社も数年後の導入を念頭に具体的な運賃の検討を進めるとみられますが、通勤や通学など利用者の理解を得られる運賃体系にできるかどうかが課題となりそうです。

「ダイナミックプライシング」とは

「ダイナミックプライシング」は、モノやサービスの需要が多い時は価格を高く設定し、需要が少ない時は価格を下げる仕組みです。国内でもすでに航空や高速バスの運賃、ホテルの宿泊料などで導入されています。

企業にとっては収益の改善につながる一方、値上げになるケースでは消費者の理解を得られるのかという課題もあります。

鉄道の運賃にはまだ導入されていませんが、JR東日本やJR西日本が検討を始めています。

ラッシュ時の混雑を緩和し、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、「ダイナミックプライシング」を導入し、通勤や通学時のピークの分散につなげたい考えです。

ただ鉄道の場合は、運賃を決められた上限より引き上げる場合、国土交通省の認可が必要で認可されるまでには時間がかかります。

このため鉄道会社はピーク時を避けて電車を利用した人にはポイントで還元するサービスを始めています。

▽JR東日本が今月から首都圏ですでに始めているほか、
▽JR西日本は大阪の中心部で来月から
▽東京メトロはことし7月からスタートする予定です。

各社は、こうした取り組みの効果を検証したうえで、ダイナミックプライシングの導入に向けた検討を本格的に進める方針です。

専門家「導入で混雑緩和も」

大都市の鉄道の運賃に「ダイナミックプライシング」と呼ばれる仕組みの導入が検討されることについて、野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「混雑する時間帯の運賃を上げることで、混雑を防止して新型コロナの感染を抑える効果が期待できる。今より安くなる時間帯があるにしても、全体としては鉄道会社の収入が増える可能性がある」と指摘しています。

そのうえで導入に向けた課題について「時間帯によっては、従来よりも高い値段になって消費者の不満が出てきかねない。導入によって、混雑が緩和されコロナ対策にもなると説明することが、消費者の納得感を得るために必要ではないか。また、ラッシュアワーの時に運賃が上がるようになれば、企業側が時差出勤やリモートワークを進めていくきっかけになりうる」と話しています。