スエズ運河 座礁コンテナ船 浮上始まる 現地管理当局

エジプトのスエズ運河で座礁したコンテナ船について、現地の管理当局は29日、船体を動かす作業を進めた結果、コンテナ船の浮上が始まったと発表しました。潮位が高くなる時間帯に向けてさらに作業を行い、運河の通航再開を目指すことにしています。

エジプトのスエズ運河では、23日、愛媛県の正栄汽船が所有し、台湾の会社が運航する大型のコンテナ船が座礁して運河が塞がれ、ほかの船が通れなくなっています。

運河を管理するスエズ運河庁は、タグボート10隻を使って船を動かす作業を行っていたところ、船体が浮上し始めたと、29日朝、発表しました。

それによりますと、船体の向きは80%修正されたとし、4メートルほどしかなかった船尾から岸までの距離は、102メートルまでに広がったとしています。

スエズ運河庁は、潮位が高くなる現地時間の午前11時半ごろ、日本時間の午後6時半ごろに向けてコンテナ船を移動させる作業を進め、運河の通航再開を目指すことにしています。

アジアとヨーロッパを結ぶ海上交通の要衝であるスエズ運河が通れない状態となってから丸6日がすぎ、周辺に待機する船舶は、360隻以上にのぼっていて世界の物流に影響が出ています。

船所有会社「離礁に期待」

エジプトのスエズ運河で座礁したコンテナ船について、船を所有する愛媛県今治市の正栄汽船の幹部はNHKの取材に対し「到着が遅れていた大型タグボードが現地に到着したので満潮に向けて作業を再開し、離礁できることを期待したい」と述べました。

そのうえで、現地の情報収集は船長や作業に当たっている救助会社などを通じて行っているとしたうえで「引き続き船長などとこまめに連絡を取り情報収集に努めたい」と話していました。

座礁の影響は

スエズ運河は、1869年に開通した全長およそ190キロの運河でアジア側の紅海とヨーロッパ側の地中海とを結び、アジアとヨーロッパの間を通航する最も早い海上ルートとなっています。

イギリスの公共放送BBCによりますと、スエズ運河を通過する船舶は世界の海上輸送の12%を占めているということです。

スエズ運河を通過できない場合は、アフリカ大陸の喜望峰を回るルートをとることになり、海運業界向けに情報提供などを行っているイギリスの「ロイズ・リスト」によりますと、この場合、距離がおよそ9000キロ長くなり、10日間ほど余分に時間がかかるということです。

今回、スエズ運河が塞がれた状態となったことで、29日現在、360隻が周辺に滞留しているほか、韓国など一部の海運会社は喜望峰を回るルートでの通航を余儀なくされているということで、世界の物流に影響が出ています。

また運河の通航料は、エジプト政府が得る重要な収入源にもなっていて、スエズ運河庁によりますと今回の事態で、1日当たりおよそ1400万ドル、日本円にして15億円余りの損失が出ているということです。

加藤官房長官「船体の一部はいまだ座礁 動向を注視」

加藤官房長官は午後の記者会見で「きょう、船主が手配した大型タグボートなどによるけん引作業で、船体が運河に沿う方向に、20度程度回転したということだ。船体の一部はいまだ座礁した状況で、離礁には至っていないという報告を国土交通省で受けている。引き続き、こうした動向を注視していきたい」と述べました。

船首が護岸から離れている様子も

29日に現地で撮影された写真では、複数のタグボートに引かれてコンテナ船が動き、船首が護岸から離れている様子が分かります。

24日の時点で撮影された写真では、コンテナ船が運河を遮るように座礁し、船首が護岸にぶつかっている様子がとらえられていました。