IR汚職事件初公判 秋元司衆院議員が無罪を主張

秋元司衆議院議員がIR・統合型リゾート施設の事業をめぐって収賄と証人買収の罪に問われている事件の初公判で、秋元議員は「起訴されたすべての事件で無罪だ」と主張しました。

IRを担当する内閣府の副大臣だった衆議院議員の秋元司被告(49)は、平成29年と30年に中国企業の元顧問らから総額760万円相当の賄賂の提供を受けたとして収賄の罪に問われているほか、贈賄側の元顧問2人に、裁判でうその証言をするよう依頼し、報酬として現金2000万円を渡そうとしたなどとして、証人買収の罪に問われています。

29日、東京地方裁判所で初公判が開かれ、秋元議員は議員バッジを付けず、ダークグレーのスーツを着て出廷しました。

起訴された内容について問われると、秋元議員は冒頭で「疑惑を持たれて課せられた職責を十分に果たせず、申し訳ない。支援して下さった方々に証人買収の罪を負わせてしまい、大変申し訳ない」と述べました。

そのうえで「起訴されたすべての事件で無罪だ。中国企業の関係者と面会した事実はなく、現金は受け取っていない」などと述べ、無罪を主張しました。

また秋元議員の弁護士は「副大臣として一定の権限はあったものの、発言力や影響力がなく、特別扱いなどしておらず、事業参入に何も影響を与えていない。東京地検が作り上げた事件だ」と主張しました。

一方、検察は冒頭陳述で「議員会館の事務所の応接室で中国企業の元顧問から『陣中見舞いです』と言われて、現金300万円が入った紙袋を受け取った」などと述べました。

また、証人買収については「秋元議員が協力者に対して、『元顧問は金で転ぶ男だから大丈夫だ』などと言って、証人買収を繰り返し求めた」と述べました。

【詳細】秋元議員の罪状認否

秋元司議員は裁判長から起訴された内容について問われると、10分近くにわたって主張を述べました。

秋元議員は冒頭で「疑惑を持たれてこのような事態となり、己の不徳の致すところだ。課せられた職責を十分に果たせないでいることは申し訳ない思いでいっぱいだ。支援して下さった方々に結果的に証人買収の罪を負わせてしまったことも大変申し訳ない」と述べました。

そのうえで「起訴されたすべての事件で無罪です。このことははっきりと申し上げます」と述べ、無罪を主張しました。

続けて秋元議員は、起訴内容に対して一つ一つ、主張を述べました。

まず、IR事業の推進について「私の政治理念として、持続可能な社会、地域、国家づくりがある。常に民間の代表である自覚と、何事も机上の空論ではダメだという思いから、現場を見て、話を聞き、感じたことを政策に生かしてきた。政治課題の解決には国の経済成長が必要で、その成長の手助けの1つがIR事業だと考えていた。しかし、私自身は、議員立法としての法案の作成や提出の過程で、与党の一議員として活動した以外、積極的に発言や行動することはあまりなかった。このことはIRに関心のある誰もが知っている」と述べました。

平成29年9月に議員会館で中国企業の元役員から「陣中見舞い」として受け取ったされる300万円について「私は中国企業の関係者と面会した事実はなく、300万円の陣中見舞いも受け取っていない。受け取ったとされる日は衆議院の解散の日で、一日中、スケジュールが詰まっていて、昼ごろに議員会館に戻ることも困難だった。問題の面会は、事務所や役所のスケジュールにも記載されていない。当時の担当秘書はまめな方で、事前にスケジュールが入ったものは、不確定なものも必ず記載していた」と述べ、面会の事実そのものがないと主張しました。

那覇市で開かれたシンポジウムの講演料については「講演について、金銭で判断したことも、金銭で交渉したこともない。講演も同様で、賄賂として講演料をもらうなどということはありえない。中国企業以外にも、テレビ出演を多数行うなど、依頼者に問題がなければ、講演は引き受けてきた。沖縄の講演については、IRに深い造詣があったわけでは無いので、『ほかの人がいいのでは』と秘書に言ってもらっていた。当時は、夏に選挙の可能性もあったが、6月下旬に夏の選挙はないと総理が発言し、講演はほかの人のあてもないということで、引き受けることになった。講演料が振り込まれたことを知ったが、秘書も手伝っており、大がかりな大会だったので、企画料が入ったくらいに受け止めていた」と述べました。

続けて秋元議員は、中国 深センやマカオへの旅費や宿泊代などの利益供与を受けたことについて「旅行費用を中国企業に持たせたことが問題になっているが、そのようにするとは、私としては考えてもいなかった。旅費などは私の事務所で負担する認識だった。この視察はもともと、中国のITベンチャーの中心の深センに一度訪れてみたいという思いがあり、中国企業に水先案内人をお願いしつつ、マカオにも寄ることになった。マカオでは中国企業にとってのライバル社に対しても連絡を取り、訪問した」と述べました。

北海道留寿都村に家族で旅行に招待されて旅費などの利益供与を受けたことについては「費用については後日、請求書が来て、事務所が対応していると思っていた。私は、スノーリゾートの経験はあまりなく、とくに冬の北海道リゾートは初めてだったから行くことにした。日頃、子どもたちとの時間も取れずにいたので、この機会にと思い、連れて行った。予約や費用については事務所がやっていて、そちらに任せていた」と述べました。

証人買収の罪については「偽証の依頼をしたことは一切ない。陣中見舞いの件について、私が経験もしていないことを関係者が供述しているようなので、なぜ事実と違うことを言うのか、理由を知りたく、私の弁護士と会って話してほしいという思いがあったことは事実だが、偽証のお願いは一切していない」と述べました。

秋元議員は手にした紙を見ながら主張を読み上げた後、裁判長のほうを向き「ぜひとも公正な裁判をお願いしたい」と述べて、自分の席に戻りました。

秋元議員の弁護士「いずれも無罪」主張

秋元議員の罪状認否のあと弁護士も認否について「秋元議員はいずれも無罪です」と主張しました。

収賄の罪のうち、議員会館の事務所で現金300万円を受け取ったことについては、「秋元議員は現金を受け取っていない」と述べました。

北海道留寿都村の旅行については、「旅費は適切に清算されており、有利な取り計らいを受けたいという趣旨であるという認識はなかった」と述べました。

中国企業が那覇市で開いたシンポジウムの講演料として、200万円の振り込みを受けたことについては「振り込みを受けたことは入金後に確認しており、有利な取り計らいを受けたいという趣旨の認識はなかった」と述べました。

そして中国の深センとマカオへの旅行については「費用は秘書がいずれかのときに支払っているという認識で、中国企業側に負担されたという認識はない」と述べました。

このあと証人買収の罪についても「記憶と違う発言をしてほしいなどとは述べていない。真実を話してほしいと述べただけだ」などとして、無罪を主張しました。

【詳細】検察の冒頭陳述

検察の冒頭陳述です。

収賄事件について、秋元議員は、平成29年8月から平成30年10月にかけて、IR担当の内閣府副大臣として、大臣を補佐する職務権限を持っていたとしました。

平成29年8月に中国企業から那覇市のホテルで開催されたシンポジウムでの講演とパネルディスカッションへの登壇の依頼を受け、200万円の振り込みを受けたとしています。

同じ年の9月には、議員会館の事務所の応接室で、中国企業の元顧問から「陣中見舞いです」と言われて現金300万円が入った紙袋を受け取ったと説明しました。

平成29年12月には、中国の深センとマカオへの旅行に招待され、旅費や宿泊代、それにカジノで遊ぶチップ代など合わせて182万円相当の利益供与を受け、平成30年2月には、北海道留寿都村に家族で旅行に招待され、旅費や宿泊代金など、76万円相当の利益供与を受けたとしています。

秋元議員による便宜供与としては、北海道への旅行の後、IR推進本部事務局の幹部職員に電話をかけ、IR整備法案では、区域認定数を具体的に決めるのではなく、柔軟な決め方をしたほうがいいと伝えたとしています。

証人買収の罪についてです。

贈賄側の中国企業の元顧問2人に対して、現金を渡した際に秋元議員がいなかったと、裁判でうその証言をするよう依頼したとしています。

秋元議員は、協力者に対して、「元顧問は金で転ぶ男だから大丈夫だ」などと述べ、証人買収を繰り返し求めたとしています。

那覇市のホテルで協力者が元顧問に会った際、現金2000万円を示したうえで、「会っていないと思うと言ってほしい」などと述べ、元顧問は、会話の内容をICレコーダーに録音していて、証人買収の背後関係を聞き出そうと、即座に断ることはせずに会話を続けていたと説明しました。

また、もう1人の元顧問に対する証人買収では、協力者に対し「弁護士費用でも何でも当方で負担するし、今後もずっと面倒見てやると伝えてほしい」などと言って証人買収を求めたとしました。

元顧問は協力者と会った際、「私は保釈条件があって、関係者と会ってはいけないし、連絡もしてはいけないことになっている。このような話をされるなら中座させてもらう。真実は1つであり、事実が覆ることはない」と述べ、証人買収の申し込みを断ったと説明しました。