秋元司衆院議員 きょう初公判 IRめぐる収賄と証人買収の罪で

秋元司衆議院議員がIR・統合型リゾート施設をめぐって収賄と証人買収の罪に問われている事件の初公判が29日、東京地方裁判所で開かれます。秋元議員は無罪を主張する方針で、関係者の証言を覆せるかが焦点となります。

IRを担当する内閣府の副大臣だった秋元司衆議院議員(49)は、平成29年と30年に中国企業の元顧問らから総額760万円相当の賄賂の提供を受けたとして収賄の罪に問われているほか、贈賄側の元顧問2人に裁判でうその証言をするよう依頼し、報酬として現金2000万円を渡そうとしたなどとして、証人買収の罪に問われています。

秋元議員は無罪を主張する見通しで、保釈されていた去年2月に開いた会見では「議員会館で贈賄側と会ったという記憶がなく、現金を受け取ったという事実は絶対にない」などと主張していました。

一連の事件で共犯として罪に問われた8人の有罪はすでに確定していて、秋元議員がこうした関係者の証言を覆せるか、政府が成長戦略の1つとして推進してきたIR事業の担当の副大臣だった秋元議員と業者との間のやり取りがどこまで明らかになるのかが焦点となります。

初公判は午後1時半から東京地方裁判所で開かれます。

これまで事件の経緯

秋元司議員に対する東京地検特捜部の捜査はおととし12月に動きました。

特捜部は中国企業の関係者が海外から現金を不正に持ち込んだ疑いがあるとして、外国為替法違反の疑いで東京 江東区にある秋元司議員の事務所など関係先を捜索しました。

6日後の12月25日、秋元議員は所属していた自民党を離党。収賄の疑いで逮捕されました。

去年1月には、マカオの旅行などで賄賂の提供を受けたとして収賄の疑いで再逮捕され、その後総額およそ760万円相当の賄賂を受け取ったとして起訴されました。

去年2月、秋元議員は保釈が認められ、保釈金3000万円を納めて保釈されました。

保釈から2日後の去年2月14日には記者会見を開き「内閣府の副大臣としてIRも担当し、リゾート施設の現場を視察してきた。しかし特定の事業者のために何か便宜を図ったことは断じてない。非難されるような癒着した関係や、賄賂を受け取ったことも一切ない。裁判では起訴された内容のすべてを否認して、無罪を主張していく」と述べ、国会にも出席していました。

しかし去年8月、贈賄側の中国企業の元顧問らに裁判でうその証言をするよう依頼し、現金を渡そうとしたとして、証人買収の疑いで再び逮捕されました。

証人買収の罪は4年前の平成29年に組織犯罪処罰法が改正された際に新たに設けられ、適用されたのは今回の事件が初めてでした。

検察の請求を受けて東京地方裁判所は去年9月、証拠隠滅のおそれがあるなどと判断して秋元議員の保釈を取り消すとともに、保釈金3000万円を全額没収する決定をしました。

「現金受け取り」「うそ証言依頼」起訴内容の詳細は

秋元司議員は、収賄の罪と組織犯罪処罰法の証人買収の罪で起訴されています。

検察が起訴した内容の詳細です。

収賄の罪では、IRへの参入を目指す中国企業の沖縄や北海道への進出に便宜を図る見返りに、平成29年9月に中国企業が那覇市で開いたシンポジウムの講演料として200万円の振り込みを受けたとしています。

同じ月に、議員会館の事務所で、現金300万円を受け取ったとしています。

平成29年12月には中国の深センとマカオへの旅行に招待され、旅費や宿泊代、カジノで遊ぶチップ代など合わせて185万円相当の利益供与を受け、平成30年2月には北海道留寿都村に家族で旅行に招待され、旅費や宿泊代金など76万円相当の利益供与を受けたとしています。

証人買収の罪は、贈賄側の中国企業の元顧問2人に対して、秋元議員の収賄事件の裁判で現金を渡した際に秋元議員がいなかったとうその証言をするよう依頼したとしています。

それぞれ別の協力者を介して依頼し、去年6月に那覇市のホテルで元顧問に対し現金1000万円を渡そうとしたほか、7月にも現金2000万円を渡そうとしたとしています。

別の元顧問に対しても、去年7月に那覇市で現金500万円を渡そうとしたとしています。

秋元議員 失職の可能性も

秋元司議員は、判決によっては公職選挙法の規定で失職する可能性があります。

今回の裁判で禁錮以上の実刑が確定すれば、公民権が停止され、失職します。収賄の罪で有罪判決が確定した場合は、執行猶予が付いた判決でも公民権が停止され、失職します。

公民権が停止する期間については、収賄の罪で実刑判決が確定した場合、刑期が終わるまでの期間に加え、服役後の5年間、公民権が停止されます。

さらにその後の5年間、選挙の投票はできるようになりますが、被選挙権はなく立候補できない状態が続きます。

執行猶予が付いた有罪判決が確定した場合は、執行猶予の期間、公民権が停止されます。

贈賄側や証人買収の共犯 8人がすでに有罪判決確定

一連の事件では、贈賄側や証人買収の共犯として罪に問われた8人にすでに有罪判決が言い渡され、確定しています。

贈収賄事件では、中国企業「500ドットコム」の紺野昌彦元顧問と仲里勝憲元顧問に対し、東京地方裁判所は「多額の金銭を提供し、贅を尽くした露骨な接待をして関係を深め、たびたび情報提供を受けていた」として、紺野元顧問に懲役2年執行猶予3年、仲里元顧問に懲役1年10か月執行猶予3年を言い渡しました。

中国企業の日本法人の鄭希元役員は「中国企業のCEOと日本人顧問との間での贈賄の計画全般に加わった」として懲役2年執行猶予3年を言い渡されています。

札幌市の観光会社「加森観光」の加森公人前会長は「最上級の客室への宿泊など至れり尽くせりの特別待遇を丸抱えで行い、贈賄の思惑があってそれなりの負担をした」として懲役10か月執行猶予2年を言い渡されています。

証人買収事件では、現金を渡そうとしたとして起訴された4人の裁判がすでに終わっています。

東京地方裁判所は「収賄事件の裁判の遂行を著しく損ないかねない悪質な司法妨害行為だ」などとして、淡路明人元会社役員に懲役1年2か月執行猶予3年、佐藤文彦会社役員に懲役1年執行猶予3年、松浦大助コンサルタント会社代表に懲役1年2か月執行猶予3年、宮武和寛元会社役員に懲役1年執行猶予3年を言い渡しています。

秋元議員とともに収賄の罪に問われている元公設秘書の豊嶋晃弘被告については、秋元議員と同じ裁判で審理されます。