東京オリンピック聖火リレー 福島が終了 あすから栃木へ

福島県でスタートした東京オリンピックの聖火リレーは3日目の27日、90人のランナーが7つの市と町でおよそ16キロを走って聖火をつなぎ、午後5時半前に郡山市のゴール地点に到着しました。
福島県での聖火リレーはこれですべて終わり、28日から栃木県に移ります。

多くの人が沿道に

福島県内での聖火リレー3日目の27日は、南会津町で出発式が開かれたあと、午前9時に最初のランナーが走り始めました。
聖火はこのあと、江戸時代の宿場町の町並みが残る大内宿がある下郷町を経て白河市や須賀川市などを通り、午後5時半前に郡山市のゴール地点に到着しました。

聖火リレーが始まって初めての土曜日ということもあって、郡山市など人口が多い地域ではこれまで以上に多くの人が沿道に詰めかけ、前後左右の距離を十分確保できず複数の列に折り重なって「密集」しているように見える場所が各地で見られました。
JR郡山駅の周辺には、1時間ほど前から家族連れなど大勢の人が集まり、会場のスタッフが「駅前だけでなく沿道での観覧をお願いします」とか、「密集を避けてください」などと繰り返し呼びかけました。リレーの開始時間が近づくと
周辺の沿道も含めて混雑し、スタッフは「かなり人が密集しています。いま一度前後の距離の確認をお願いします」と呼びかけを強めていました。

しかし、聖火ランナーが近づくと、集まった人たちは見やすい場所を確保しようと周りの人との間隔を狭め、密集の度合いがさらに増していました。

聖火リレーを見に来た68歳の女性は「少し離れた位置から見ていますが、出発点付近の人だかりは完全に密だと思います。もっと人と人の間隔をとらないとまずいと思います。これでまた感染者が増えるのではないかと心配です」と話していました。

また、郡山市内の38歳の男性は「大勢集まってきたので離れた場所に移動しましたが、ここも混雑してきたらまた移動しようと思います。出発点付近は肩が触れ合うほどなので、危機感が足りない気がします」と話していました。

大音量で音楽 違和感感じる人も…

組織委員会は、安全を最優先に実施するとして密集を避けて観覧するよう呼びかけていますが、ランナーを先導する車の前方では大会スポンサーの車が大音量で音楽を流しスタッフが応援グッズなどを配っていました。

沿道で応援していた女性は「車から流れる音がすごくて、お祭り騒ぎになっている感じがしました。盛り上がりも大事だとは思いますが、今も新型コロナウイルスで大変な状況の人がいるのにと違和感を感じます」と話していました。
組織委員会は沿道で生じた密集が解消されない場合は、リレーを中断してその場所を飛ばすこともあるとしていましたが、この3日間、こうした措置はとられませんでした。

300人近いランナーが50キロ余りを走った福島県での聖火リレーはこれですべて終わり、28日から栃木県に移ります。

東京オリンピックの聖火リレーは、およそ1万人のランナーが参加し、およそ4か月かけて全国各地を巡ります。新型コロナウイルスの感染が収まらず大会の開催に疑問の声もある中、沿道の「密集」対策が大きな課題となっています。

本番直前の「欠席」も相次ぐ

東京オリンピックの聖火リレーでは著名人ランナーなどの辞退が続いていますが、全国に先駆けて行われた福島県では、本番直前になってからの「欠席」も相次ぎました。

このうち、本番前日の24日には、未発表分を含むすべてのランナーのリストが発表された際に楢葉町を走る予定だったランナーの「欠席」が決まり、次のランナーがその分も走りました。

また、初日の25日には、大熊町で走る予定だったランナーの「欠席」が3時間半前に決まり、前の区間のランナーが2人分走りました。

26日は、川俣町を走る予定のグループランナーのうち2人が「欠席」しました。

さらに、27日も郡山市を走る予定だったランナーの欠席が直前に決まり、前の区間のランナーが2人分走りました。

大会組織委員会によりますと、「欠席」はみずからの意志で参加を見送った「辞退」とは異なり、参加する意志はあったのに体調不良など何らかの理由で走れなくなったケースだということです。

今回の聖火リレーは、新型コロナウイルスの感染が収まらない中で行われ、新型コロナウイルスの感染対策が大きな課題となっていますが、大会組織委員会は「欠席」と発表したランナーが具体的にどのような理由で走れなくなったか明らかにしていません。

箭内道彦さん「復興五輪 成し遂げてほしい」

福島県郡山市出身で、震災と原発事故からの復興に向けさまざまなイベントや企画を手がけてきたクリエイティブディレクターの箭内道彦さん(56)は、地元 郡山市を走りました。

箭内さんは「聖火がトーチにともされた瞬間から震災以降の10年間の思いが込み上げてきました。ともし火のように見えていた『復興五輪』がだんだんしぼんだような気がしています。復興五輪を、お題目としてではなく、きちんと成し遂げてほしいと思います」と話しました。

辞退者の代わりに…「いろいろな人の思いの重さを感じた」

福島県内での聖火リレー最終日の27日、田村市では、原発事故で一時、避難指示が出された都路地区のおよそ1.2キロの区間を6人のランナーが走りました。

このうち第6走者をつとめたのは、大会組織委員会の森前会長の発言をめぐる問題で辞退した男性に代わりランナーをつとめた田村市の元教員の佐久間辰一さんです。

佐久間さんは、地域住民が交流できる場を作ろうと25年前から地元の畑や道路沿いにヒマワリを植える活動を続けてきました。佐久間さんは、サポートランナーの都路小学校の児童12人とともに走り、沿道では、地域の人たちがヒマワリの造花を振って応援していました。

走り終わったあと佐久間さんは「トーチを持ったときずっしりとした重み、いろいろな人の思いの重さを感じました。オリンピックという1つのものを通じて地域、社会がよくなればという気持ちはみんな同じだと思います」と話していました。

辞退したランナー「悔いはない」

聖火ランナーをつとめる予定だったものの大会組織委員会の森喜朗前会長の発言をめぐる問題への対応に納得がいかないとして辞退を申し出た男性は27日、沿道からリレーを見守りました。

坪倉新治さんは原発事故でかつて避難指示が出された田村市の都路地区で聖火ランナーをつとめる予定でした。しかし、大会組織委員会の森前会長の発言をめぐる問題への対応に納得がいかないとして辞退を申し出て、補欠で選ばれていた男性が走ることになりました。

27日、沿道から聖火リレーを見守った坪倉さんは「代わりに選ばれた方が気持ちよく走れるか不安でしたが、走っている姿を見て安心しました。自分の信念に基づいて行動し、苦渋の選択ではありましたが悔いはないです。世界の皆さんに福島の復興の状況が伝わるオリンピックになってほしい」と話していました。

到着式 会場の外も「密集」状態

福島県での東京オリンピックの聖火リレーの最後を飾る3日目の到着式は、郡山市で事前の抽選で当選した人だけ会場に入れる形で開かれました。

しかし、聖火が到着する瞬間を一目見ようと会場の外にも人が集まり、ランナーが到着する直前には肩と肩が触れ合うほどの「密集」状態になっているように見えました。

会場のスタッフや警察官が「前後左右適切な距離を保って感染対策にご協力ください」などと呼びかけていましたが、集まった人が移動することはありませんでした。

福島県の内堀知事は到着式のあと、「今回の聖火リレーの最大の課題は感染症対策で、あらかじめ声かけを行うなどして密集をしないよう呼びかけてきた。しかし、福島市や郡山市など都市部ではある程度人が集まっていた現実があると思う。ただ、次の区間にスキップするまでの事態ではなかったと思う」と述べました。

組織委「ルートを飛ばすような密状態を回避できた」

25日スタートした東京オリンピックの聖火リレーは、最初の都道府県となった福島県での3日間の行程が終わりました。

大会組織委員会は「ルートを飛ばすような密状態を回避できた経験を生かし、121日間のリレーを無事にやり遂げたい」としています。

1年延期された東京オリンピックの聖火リレーは25日にスタートし、27日までの3日間、福島県内でリレーが行われました。

27日は、郡山市など人口の多い地域でリレーが行われたため、組織委員会は、特に混雑が予想されたJR郡山駅の周辺では、聖火ランナーが走るのとは反対側の車道を観覧用に開放して、密集状態を避ける対策を取ったということです。

一方で、ランナーが走る側の歩道には多くの人が集まり、距離を十分確保できない状態で複数の列に並んでいましたが、リレーは中断されませんでした。

これについて組織委員会の高谷正哲スポークスパーソンは「ルートを飛ばすような密状態を回避しながら3日間を無事に終えることができ、地元の協力に感謝したい」と述べました。

そのうえで「駅周辺など人が多くなりがちな場所は呼びかけを強化して観覧する人の移動をお願いした。こうした経験を次の県に伝えて生かすことで121日間のリレーを無事にやり遂げたい」と話していました。

大きなトラブルなし

福島県警察本部によりますと、27日まで3日間全国に先駆けて福島県で行われた東京オリンピックの聖火リレーは、午後5時半前の最終ランナーのゴールまでに大きなトラブルはなかったということです。