新型コロナ 感染急拡大地域も 各地の1週間平均の増減は

緊急事態宣言は解除されましたが、新型コロナウイルスの新規感染者数を1週間当たりで見てみると、各地で増加傾向にあり、関西や中京圏などで増加が顕著になっているほか、宮城県や愛媛県などでは前の週の2倍を超える急拡大となっています。
専門家は「感染の再感染、『リバウンド』の傾向が見られる地域もあり、感染拡大の第4波の入り口に差しかかっていると考えておかなければいけない」と述べ、拡大を抑える対策を早めに取る必要性を指摘しています。

NHKは各地の自治体で発表された感染者数を基に、1週間平均での新規感染者数の傾向についてまとめました。

全国では
▽先月25日には前の週に比べて0.80倍、
▽今月4日は0.98倍で、1日当たりの新規感染者数は1000人前後でしたが、
▽今月11日は前の週の1.05倍、
▽今月18日は1.10倍、
▽今月25日までの1週間では1.22倍と増加傾向になっていて、1日当たりの新規感染者数は1500人近くとなっています。

1都3県 横ばいから増加傾向

今月21日に緊急事態宣言が解除された1都3県のうち、
東京都は
▽先月25日には前の週に比べて0.79倍、
▽今月4日は0.96倍と減少傾向にありましたが、
▽今月11日には1.01倍、
▽今月18日には1.09倍、
▽今月25日までの1週間では1.08倍で、1日当たりの新規感染者数は300人を超え、増加傾向となっています。
また、神奈川県は
▽先月25日には前の週に比べて0.92倍、
▽今月4日は1.07倍、
▽今月11日は0.94倍、
▽今月18日は0.92倍、
▽今月25日までの1週間では0.95倍となっています。
埼玉県は
▽先月25日には前の週に比べて0.75倍、
▽今月4日は0.97倍、
▽今月11日は1.08倍、
▽今月18日は1.09倍、
▽今月25日までの1週間では0.94倍となっています。
千葉県は
▽先月25日には前の週に比べて0.97倍、
▽今月4日は1.03倍、
▽今月11日は0.84倍、
▽今月18日は0.95倍、
▽今月25日までの1週間では0.98倍となっています。
1都3県全体では、
▽先月25日には前の週に比べて0.83倍、
▽今月4日は1.00倍、
▽今月11日は0.98倍、
▽今月18日は1.03倍、
▽今月25日までの1週間では1.01倍で、横ばいから増加傾向となっています。

“宣言”先行解除の地域 感染者の増加傾向 顕著に

先月末で緊急事態宣言が解除された地域のうち、
愛知県は
▽解除前の先月25日には前の週に比べて0.70倍、
▽今月4日は1.05倍、
▽今月11日は0.86倍、
▽今月18日は0.97倍と減少傾向でしたが、
▽今月25日までの1週間では1.46倍で、増加傾向が顕著になっています。
愛知県と岐阜県の2県でみますと
▽先月25日には前の週に比べて0.67倍、
▽今月4日は0.98倍、
▽今月11日は0.84倍、
▽今月18日は0.97倍、
▽今月25日までの1週間では1.53倍で、増加傾向が顕著になっています。
大阪府は、
▽緊急事態宣言が解除される前の先月25日には前の週に比べて0.77倍、
▽今月4日は0.94倍でしたが
▽今月11日は1.06倍と増加に転じ、
▽今月18日は1.40倍、
▽今月25日までの1週間では1日当たりの新規感染者数が170人余りと前の週に比べて1.57倍で増加傾向が顕著になっています。
兵庫県は
▽先月25日には前の週の0.58倍でしたが、
▽今月4日は1.03倍、
▽今月11日は1.23倍、
▽今月18日は1.66倍と徐々に増加傾向が顕著になり、
▽今月25日までの1週間では1.24倍となっています。
関西の2府1県では
▽先月25日には前の週に比べて0.69倍、
▽今月4日が0.92倍、
▽今月11日は1.18倍、
▽今月18日は1.39倍、
▽今月25日までの1週間では1.47倍で、増加傾向が顕著になっています。
福岡県は
▽先月25日には前の週に比べて0.62倍、
▽今月4日は0.72倍、
▽今月11日は1.00倍、
▽今月18日は1.15倍、
▽今月25日までの1週間では0.86倍となっています。

緊急事態宣言対象外の宮城・山形・愛媛・沖縄で感染急拡大

また、緊急事態宣言の対象ではなかった地域で、感染が急拡大しているところがあります。
宮城県では、今月始めまで1日当たりの感染者数は1週間の平均で10人未満と少ない状態が続いていましたが、その後急増し、
▽今月11日には前の週に比べて2.06倍、
▽今月18日は1.85倍、
▽今月25日までの1週間では1.87倍と急増が続き、1日当たりの新規感染者数は120人近くとなっています。
沖縄県では、
▽今月11日には前の週に比べて1.12倍、
▽今月18日は1.49倍、
▽今月25日までの1週間では1.75倍と急増しています。
また、山形県では、今月中旬まで1日当たりの感染者数は1週間の平均で1人前後でしたが、今月25日までの1週間ではおよそ25人となり、前の週に比べて7.65倍と急増しています。

そして、愛媛県では、先週まで1日当たりの感染者数は1週間の平均で1人前後でしたが、今月25日までの1週間ではおよそ17人で、前の週に比べて16.57倍となっています。

専門家「このまま放っておくと“第4波”に」

日本感染症学会の理事長で東邦大学の舘田一博 教授は「緊急事態宣言が先に解除された愛知県や関西では『リバウンド』の傾向が見られる。1都3県は増加の傾向はまだ顕著ではないが、このまま放っておくと、感染拡大の第4波になってしまう、その入り口に差しかかっていると考えておかなければいけない」と話しています。

また、宮城県や愛媛県など、緊急事態宣言の対象ではなかった地域でも急増していることについて「人の動きが多く見られ、油断しているうちに感染の火種が少しずつ燃える、燃え盛るような形になって今回のような増加につながってるのではないか。地域に潜んでいる火種を早期に見つけ出して抑えることが必要になる。医療のひっ迫を引き起こさないためにも兆候をつかんで、早めの対策を取ることが重要だ」と話しています。