新型コロナ 急速に感染拡大する地域では…

3月21日に首都圏1都3県の緊急事態宣言が解除されましたが、全国では新型コロナウイルスの感染が急速に拡大している地域があります。
こうした地域では、新たに飲食店に時短要請をするなど対策に追われています。

山形 27日夜から営業時間の短縮を要請

山形県では、27日夜から山形市内で酒類を提供する飲食店などへの営業時間の短縮が要請されます。

山形県内では25日、新規感染者の発表が49人と過去最も多くなったのに続き、26日も34人の感染者が確認されるなど、3月18日から9日連続で、1日の感染者数が2桁となっていて感染拡大が続いています。

このため、県は山形市内の飲食店などに対し、27日夜から4月11日まで午前5時から午後9時までの営業時間の短縮を要請することにしています。

対象は、市内の接待を伴う飲食店やカラオケ店を含む酒類を提供する飲食店などおよそ1200の店舗で、要請に応じた飲食店には店舗ごとに1日当たり5万円、期間中の16日間で合わせて80万円が県と山形市から支給されます。

これで要請に応じる市内の飲食店は、27日から4月11日まで午後9時以降は営業を行わないことになります。

山形市の繁華街「組合員の9割くらい 短縮でなく休業に」

山形市の繁華街の1つで、JR山形駅前のおよそ190の店舗が加盟する「山形駅前はながさ通り飲食店組合」の酒井貞昭理事長は「組合員の9割くらいは店を開けても客が来ないので、短縮ではなく休業すると話していた。本来であれば、いちばんにぎわう時期で音も色もない街は寂しい」と話していました。

酒井さんが経営する店は「街の灯を消したくない」などとして、3月いっぱいは午後9時までに時間を短縮して営業する予定ですが、4月については検討中だということです。

そのうえで「営業時間の短縮要請が終わる4月11日で、ある程度収束することを祈っている。それ以降も続くと死活問題になる。新型コロナをまん延させないために協力して、解除後は山形の経済がまわるよう最大限の努力をしていきたい」と話していました。

愛媛 4月から松山中心部の繁華街飲食店に時短要請

愛媛県は、松山市内の繁華街で新型コロナウイルスの集団感染、大規模なクラスターが発生していることから、市内中心部の繁華街の飲食店に限定し、4月1日から営業時間を午後9時までに短縮するよう要請しました。

愛媛県が26日発表した新たな感染者は39人と、1日当たりの感染者数としては、過去2番目の多さとなりました。

居住地別でみると、松山市が31人で集中しているほか、感染経路別では、「飲食店」が30人と大部分を占めています。

また、松山市内の繁華街では大規模なクラスターが発生していて、新たに34人の感染が確認されるなど、このクラスターによる感染者は合わせて129人にのぼっています。

県は、現在の感染拡大は市中感染のまん延ではなく、繁華街が中心だとみていることなどから、酒を提供する飲食店のうち松山市中心部の繁華街にある店舗に限定して、4月1日から営業時間を午後9時までに短縮するよう要請しました。

酒を提供できるのは、午後8時半までとなっています。

期間は来月1日から3週間後の21日までの予定で、すべての期間協力した店舗に対し、協力金を1日4万円支給するとしています。

大阪 営業時間の短縮要請 府内全域に拡大

大阪府は、新型コロナウイルスの対策本部会議を開き、府内で感染が再び拡大していることから、3月31日の期限で大阪市内の飲食店などに出している営業時間の短縮要請を、4月21日まで延長したうえで、4月1日からは、対象エリアを府内全域に拡大することを決めました。

大阪府は3月31日までの期限で、大阪市内の飲食店などを対象に、営業時間を夜9時までに短縮するよう要請していますが、府内で感染が再び拡大していることから、今後の対応を決めるため、26日対策本部会議を開きました。

会議では、吉村知事が「今の大阪の状況は明らかな感染拡大の傾向にある。特に、若い世代の感染が非常に伸びていて、さらに拡大する可能性が高い。時短要請の範囲を広げて、大阪府全域にお願いすることが必要だ」と述べました。

また緊急事態宣言が解除されて以降、新規の感染者数が大阪市以外の地域で増加に転じ、大阪市内でも直近1週間で急増していることが報告されました。

そして、こうした状況を踏まえ、時短要請を4月21日まで3週間延長したうえで、4月1日からは対象エリアを府内全域に拡大することを決めました。

対象となるのは、▽居酒屋を含む飲食店、▽宅配やテイクアウトを除く喫茶店、それに▽バーやカラオケ店などで、営業時間を朝5時から夜9時まで、酒類の提供は夜の8時半までとします。

また府民に対し、▽少しでも症状がある場合は早めに検査を受けるよう呼びかけるほか、▽4人以下でのマスク会食の徹底や、▽歓送迎会や宴会を伴う花見は控えること、また▽首都圏の1都3県との往来の自粛を改めて要請することも決めました。

吉村知事「急速拡大なら『まん延防止等重点措置』要請」

吉村知事は、対策本部会議のあと記者団に対し「大阪市外、大阪市内ともに新規陽性者が非常に速い速度で増加している。年度替わりという感染が広がりやすい環境でもあり、感染の急拡大を防ぐため、ご協力をお願いしたい」と述べました。

そのうえで「今後、感染拡大の速度が上がって、右肩上がりにずっと増えてくる状況になれば、『まん延防止等重点措置』の要請も考えていきたい」と述べ、今後、感染が急激に拡大した場合は、緊急事態宣言が出されていなくても、集中的な対策を可能にする「まん延防止等重点措置」の適用を、国に要請することも検討する考えを示しました。

また吉村知事は、4月13日と14日に大阪で行われる聖火リレーについて、「大阪の感染状況も踏まえたうえで対策を徹底して行うということで進めていきたい」と述べました。

沖縄 県民の外出自粛や時短要請など視野に対策検討へ

沖縄県の玉城知事は、新型コロナウイルスの県内での感染者が3月に入って増加傾向になっていることを踏まえ、県民に対する外出自粛や飲食店などに対する営業時間の短縮要請も視野に対策を検討していく考えを示しました。

沖縄県内では、県独自の緊急事態宣言が解除された3月1日以降、新規感染者数が増加傾向にあり、20代から40代を中心に飲食の場を介した感染が拡大しています。

こうした状況を踏まえ、玉城知事は26日午後、記者会見で、県民に対する外出自粛や飲食店などに対する営業時間の短縮要請も視野に、対策を検討していく考えを示しました。

沖縄県は28日、経済団体と意見を交わしたうえで、来週29日の対策本部会議で具体策を協議することにしています。

また那覇市の繁華街の松山地区では、接待を伴う飲食店の従業員を対象に27日から4月11日まで、無料のPCR検査を集中的に実施するということです。

玉城知事は「あすからの2日間で、もっと感染状況がはっきり見えてきて、どの程度、重い判断と措置を講じられなければならないか、わかってくると思う。今の状況をしっかり抑え込むための、総合的な判断をしなければいけないのではないかと考えている」と述べました。