仙台 今夜から酒類提供飲食店に時短要請 問い合わせ相次ぐ

宮城県内で新型コロナウイルスの感染が急速に拡大するなか、25日夜から仙台市内の酒類を提供する飲食店などへの営業時間の短縮要請が始まります。県が設置したコールセンターには、事業者からの問い合わせが相次いでいます。

宮城県内では24日、過去最多の171人の感染確認が発表され、24日までの直近1週間の人口10万人当たりの感染者数は33.30人と、全国で最も高くなっています。

こうした状況を受け、宮城県と仙台市は25日夜から、仙台市内の酒類を提供する飲食店などへの、営業時間の短縮要請を行います。

対象となるのは仙台市内全域のカラオケ店を含む酒類を提供する飲食店や接待を伴う飲食店など、およそ1万の店舗で期間は25日午後9時から来月12日の午前5時までです。

この期間は営業を午後9時までに終えるように求めています。

要請に応じた事業者には、県から1日当たり4万円の協力金が支払われるほか、仙台市から減収の金額に応じて最大で120万円の支援金が支給されます。

県が県庁内に設けたコールセンターには、事業者からの問い合わせが相次いでいます。

県によりますと、開設された今月22日から25日午後2時までに827件の電話が寄せられているということです。

コールセンターの番号は022-211-2332で、午前9時から午後5時まで受け付けています。

店頭でテイクアウト商品販売へ

午後9時までの時短営業の要請が25日から始まる仙台市内の居酒屋の中には、店頭でのテイクアウト商品の販売に力を入れる店も出ています。

仙台駅前で深夜まで営業していた洋風居酒屋『bar allegro』は、25日夜から要請に従う予定ですが、午後9時以降の売り上げが半分以上を占めていたため、大きな打撃だということです。

店長の引地匠さんは「午後10時までだった前回の時短要請より1時間早いので、経営はより厳しくなる。宴会の2次会としての利用が多かったので、団体客の取り込みができない」と話しています。

そこで、売り上げの減少を少しでも抑えようと、この店では今月21日からテイクアウトできる自家製のポップコーンの販売を始めました。

人通りが多い仙台駅前という立地のよさを生かし、必要な道具がそろう今週末からは店員が店頭に出て販売することにしています。

店長の引地さんは「新しい商品やアイデアをみんなで出し合いながら、厳しい時期を乗り越えていきたい」と話していました。

新たなガイドラインで持続的な経営を

宮城県内の日本料理店で作る県料理業生活衛生同業組合の遠藤慎一理事長は、2回目となる今回の時短要請で飲食店の経営は一層厳しい状況に追い込まれるとみています。

遠藤理事長は「今回の時短要請で飲食店の予約のキャンセルが相次いでいる。すでに廃業を決断した店もあり、経営に苦しむ飲食店は今後増えていくのではないかと懸念している」と話しています。

そのうえで、遠藤理事長は飲食店が今後も持続的な経営を進めていくには、これまでより感染対策を強化した新たなガイドラインが必要だと考えています。

遠藤理事長は「今回の急速な感染拡大が収束しても、リバウンドが起きそのつど、飲食店に矛先が向いてしまう。より厳しいガイドラインを適用して感染に強い店を作らなくてはいけない。飲食店側も考えられる対策はすべてやってきたが、それでもだめだと言われると路頭に迷うことになるので、これを守れば大丈夫という高いハードルのガイドラインを国に示してもらいたい」と話していました。

居酒屋が昼ラーメン店に

仙台市青葉区二日町にある居酒屋は、新型コロナウイルスの感染が拡大する以前は、午後5時から平日と土曜は深夜24時まで、日曜と祝日は午後10時まで夜間の営業を行ってきました。

しかし仙台市内では先月7日まで夜の営業時間を午後10時までとする1回目の短縮要請が行われ、居酒屋のこの時期の売り上げは去年に比べて半減したということです。

このため居酒屋では売り上げを回復させようと、前回の短縮要請が終了した先月中旬以降、客1人当たりの滞在時間が比較的短く感染のリスクも軽減できるうえ、一定の売り上げも見込めるラーメン店の営業を昼の時間帯に新たに始めることになりました。

営業は同じ店舗で行いますが、夜とは店の名前も変え、看板もかけ替えます。

25日からの2回目の時短要請では、夜の営業時間も午後9時までと前回より1時間繰り上がるため、今後、ラーメンのメニューを増やして昼の営業を強化することで、売り上げの減少を抑えようと考えています。

居酒屋の山本二民店長は「現状では、お昼の営業にも影響が出ているので不安もありますが、負けていられないという気持ちでやっています。今後、新たな商品を展開したり、よりスピーディにお客さんにラーメンを提供したりして、売り上げを戻していきたい」と話していました。

屋内公共施設 休止や利用制限へ

新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、仙台市は動物公園や図書館など450余りの公共施設について、26日以降、休止や利用を制限することを決めました。

新型コロナウイルスの急速な感染拡大を受けて仙台市は25日、対策会議を開き、公園などの屋外施設を除いた市内すべての公共施設について26日以降、順次、休止や一部の利用停止を行うことを決めました。

休止などの措置をとるのは454の施設で、26日から八木山動物公園や図書館などが休館となるほか、27日からはカメイアリーナ仙台などのスポーツ施設や、各地の市民センター、コミュニティセンターなども休館とするということです。

休止期間は多くは来月11日までとしています。

また、26日以降市が主催するイベントも原則、中止や延期とすることを決めました。

会議のあと仙台市の郡市長は「人の密集や移動を避けるため施設の休止などを決めた。この危機を乗り越えるため、市民には我慢してもらいたい」と話していました。