表現活動の現場でのハラスメント調査 回答の8割超“経験ある”

美術や演劇など表現活動の現場におけるハラスメントの実態について、活動の当事者などでつくる団体がアンケート調査を行ったところ、パワハラやセクハラを受けた経験があるという回答がいずれも8割以上となり、調査にあたった団体は「被害の実態を可視化してハラスメントを止めていきたい」としています。

この調査は表現活動に携わる当事者でつくる「表現の現場調査団」が、去年12月からことし1月にかけて、インターネットを通じて初めて行い、アーティストや作家、役者など1449人から回答を得ました。

この中で「過去10年以内にパワハラを受けた経験があるか」という質問に対し、全体の9割近くにあたる1298人が「ある」と回答しました。

その具体例を複数回答で尋ねたところ「暴言・嫌み・無視といった精神的な攻撃を受けた」が全体のおよそ7割と最も多く「金銭・労働条件での不安を強いられた」や「度を超えたダメ出しや過剰な批評を受けた」といった回答も半数を超えました。

また、セクハラを受けたと回答した人は1161人と、およそ8割にのぼり「制作上の演出やアートであることを理由とした性被害にあった」など表現の場に特有の被害も報告されました。

調査を行った団体は表現活動の現場ではフリーランスなど契約上弱い立場に立たされるケースが多いことや、閉鎖的な環境に置かれハラスメントの被害を訴えにくいことなどを要因に挙げていて、会見でホンマエリさんは「既存の価値観を疑い、時代ごとに更新していくのが表現活動なのに、ハラスメントはずっと横行してきた。こうした調査を通じて被害の実態を可視化し、ハラスメントを止めるための『目』を増やしていきたい」と話しています。

回答に見るハラスメントの実態

今回のアンケート調査の自由記述には、具体的なハラスメント被害が記されています。

30代の映像関係者の男性は「殴る、蹴るの暴行を受け、それを撮影され、映画として公開された」と記し、30代の漫画家の男性は「20代の頃から編集者に『作品がつまらないのは作者の人格や人生がつまらないからだ』と聞かされた」と答えたほか、20代の美大生の女性は「裸婦をモチーフにした作品を教授に見られて『このモデルはあなた?あなたの裸はこういう姿なの?』など、ほかの学生たちの前で言われた」と記していました。

また、性別を理由とした差別「ジェンダーハラスメント」を経験したという人も、全体の7割余りとなる1042人にのぼり、自由記述の回答では、40代のピアニストの女性が「人間としてではなく女性としての性的な魅力で評価される。それを訴えた時、周りの男性に女性性を利用してきたくせにと言われる」と答えたほか、30代の映像作家の女性は「映像周りの世界では『女は才能がなく男が才能がある』という謎常識がある気がします」と記していました。