穀物や砂糖 価格が世界的に値上がり 天候不順や中国の需要増で

穀物や砂糖などの食料価格が世界的に値上がりしています。中国で需要が高まる一方で、生産国の天候不順などで供給不足の懸念が出ているためで、日本でも食用油や砂糖の値上げにつながっています。

FAO=国連食糧農業機関が穀物や肉類、砂糖など、5つの品目の国際的な取り引き価格をもとにまとめている食料価格指数は、先月、前の月と比べて2.4%上昇しました。

上昇は9か月連続で、2014年7月以来、6年7か月ぶりの高さだということです。

国際的な先物価格も上昇が続いていて、大豆は、今週はじめの時点で1ブッシェル当たり14ドル25セントとなり、1年前と比べておよそ70%上昇しています。

また、トウモロコシも1ブッシェル当たり5ドル51セントとおよそ45%値上がりしているほか、砂糖も1ポンド当たり15セント余りと、およそ35%上昇しています。

専門家は、中国で飼料用として大豆やトウモロコシの需要が急速に高まっていることや、大豆や砂糖の生産国で天候不順となり、供給不足の懸念が出ていることなどが背景にあるとしています。

価格の上昇を受けて、日本でも、食品メーカーが大豆などを原料とする食用油や砂糖を値上げしていて、家計への影響も出ています。

砂糖の生産地は干ばつ続きで原料のサトウキビが不作

世界有数の砂糖の生産地、タイでは、干ばつが続き、原料のサトウキビが不作になっています。

タイは、サトウキビから年間1000万トン前後の砂糖を生産していて、日本が輸入する砂糖も1割以上がタイ産です。

しかし、今シーズンのサトウキビは、収穫量が少なく不作になっています。

干ばつが続いていることで、成長に十分な水分がなかったためとみられています。

タイ北部ナコンサワンでおよそ30ヘクタールの畑を持つ農家では、今シーズンのサトウキビの面積当たりの収穫量は、いつもの年の半分程度に減ったということです。

この農家は、サトウキビの専業農家をやめ、干ばつに強いとされ、タピオカの原料になるキャッサバへの転作を進めています。

農家のマリ・ディトシリさんは「畑の土が乾燥していて全く水分がない。キャッサバのほうが栽培に適しているようで、この地域でもサトウキビ畑は減っている」と話していました。

収穫量の減少を受けて、この地域にある砂糖メーカーの工場では、サトウキビを搾る工程が例年より1か月以上早い今月上旬に終了し、機械が止まったままになっています。

タイ国内ではサトウキビを搾る工程が先月中に終わってしまった工場もあり、砂糖メーカーの間では、今シーズンは、サトウキビを搾る量が不作だった前のシーズンをさらに10%程度下回ると予想されています。

砂糖メーカー「カセタイ」のナタパン副CEOは「干ばつが続いていて来期も間違いなくいい年にはならないと思う。農家がサトウキビ栽培をやめれば、砂糖工場は経営が苦しくなり何もかもなくなってしまう」と話していました。

食料価格の背景には異常気象に加え中国の輸入拡大も

世界の食料事情に詳しい資源・食糧問題研究所の柴田明夫代表は、食料価格の上昇の背景には世界的な異常気象などの要因に加えて中国が穀物の輸入を増やしていることがあるとしたうえで「中国は構造的に輸入を拡大する仕組みに転換しようとしている。そうすると一時的な輸入の増加ではなく、恒常的な状態になっていく」と述べ、価格上昇が長期化する懸念があるとしました。

そのうえで「食料価格の上昇に加えて海上輸送の運賃も値上がりしていて、これもコストアップや値上げの要因になるため日本への影響が大きい。すでに日本でも、価格は据え置きながら量を減らすような、『ステルス値上げ』とも言える値上げが浸透してきている」と指摘しました。