LINE社長 中国からの個人情報へのアクセス遮断を明らかに

通信アプリ大手のLINEは、十分な説明のないまま、利用者の個人情報などを中国からアクセスできる状態にしていたり、韓国で管理していたりした問題について、中国からの個人情報へのアクセスを完全に遮断したことを明らかにしました。
また、韓国で保存していたデータを国内に移転する方針を改めて示しました。

LINEをめぐっては、日本国内のサーバーに保管された利用者の名前や電話番号といった個人情報などに業務を委託していた中国の会社からアクセスできる状態だったことが明らかになっています。

これについて、親会社のZホールディングスは利用者への説明が不十分だったため対応策を検討するとして23日、有識者による委員会の初会合を開きました。
会合の冒頭でLINEの出澤剛 社長は「皆様に多大なるご心配ご迷惑をおかけしており大変申し訳ございません」と陳謝しました。

そのうえで、対応策として中国のすべての拠点からの個人情報へのアクセスを22日をもって完全に遮断したことを明らかにしました。

また、中国の会社に委託していた一部の業務を23日で終了したということです。

このほか、韓国のデータセンターで保存していた画像や動画のデータについては、今後すべて国内に移転する方針を改めて示しました。

さらにLINEが開発した新型コロナウイルスのワクチン接種の予約ができるシステムについては、利用者のデータを国内で管理する形で自治体に提供していると説明しました。

内閣府 防災公式アカウントの利用停止

通信アプリ大手のLINEが、利用者の個人情報などを業務委託先の中国の会社がアクセスできる状態にしていた問題を受けて、内閣府は、防災に関する公式アカウントの利用を停止しました。

この公式アカウントでは、台風や大雨を想定して、とるべき避難行動を確認できる「避難行動判定フロー」などが提供されていましたが、個人情報は取り扱われていなかったということです。

LINE 行政サービスの提供停止が相次ぐ

通信アプリ大手のLINEをめぐっては、政府や自治体の間でLINEを通じた行政サービスの提供を停止する動きが相次いでいます。

このうち総務省は、LINEを通じて提供している意見募集や問い合わせなどの運用を停止するほか、LINEを活用しているすべての自治体に対して今月26日までに利用状況を報告するよう依頼しています。

厚生労働省は、新型コロナウイルスの水際対策として行っている入国後の健康状態の確認について、LINEの利用を今月20日から停止しています。
また、LINEではアプリを通じて新型コロナウイルスのワクチン接種の予約ができるシステムを開発し多くの自治体が導入していますが、河野規制改革担当大臣は23日の閣議のあとの記者会見で、このシステムについて個人情報が漏えいしないかどうかを確認する考えを示しています。

このほか大阪府や愛知県、千葉県など多くの自治体がLINEを通じた行政サービスの提供を停止すると発表しています。

有識者委員会 座長「高い期待と信頼を傷つけた」

有識者による委員会の初会合の後、座長を務める東京大学大学院の宍戸常寿教授は「非常に多くの人が利用し、事実上、社会インフラとなりつつあるアプリであり、通信の秘密の順守を含めて安全でプライバシーに配慮していると言われてきたアプリであればこそ、高い期待と信頼を傷つけた。事実関係を解明し、そして可能なかぎり早く、できるところは順次、公表していきたい」と述べました。

LINE問題とは

LINEをめぐっては利用者の個人情報、それにアプリを通じてやりとりされた動画や画像などについて、外国で管理したり日本にあるデータに外国からアクセスできたりしたことについて、説明が十分でなく、個人情報などの流出や悪用がなかったかどうかが問題となっています。

具体的には、システムの管理を委託している中国の会社の技術者4人が日本国内のサーバーに保管されている利用者の名前や電話番号などの個人情報にアクセスできる状態になっていました。

また、利用者の間でやりとりされたメッセージや写真などのうち、不適切だとして通報が寄せられた内容などにもアクセスできる状態になっていました。

2018年8月から、ことし2月下旬までの期間で中国の技術者4人から日本のサーバーへ、少なくとも32回のアクセスが確認されているということです。

LINEや親会社のZホールディングスは、これまでのところ情報が悪用されたという報告はないとしています。
また、画像や動画、アルバムやタイムライン、スマホ決済の「LINE Pay」の取引状況などを、以前の親会社がある韓国のデータセンターで管理していることも明らかにしました。

会社では、韓国で管理しているデータは、おととしから段階的に日本国内への移転を進めていて、このうち「トーク」でやりとりされている画像や動画については、ことし6月までに国内に移転するとしています。

一方「トーク」の文章やID、電話番号、メールアドレス、それに友だちのリストなどプライバシー性の高い個人情報は日本のサーバーで管理しているとしています。

個人情報保護法では、外国への個人情報の移転が必要な場合には、一部の例外を除いて利用者の同意を得るよう定めていて、来年、施行される改正法では国名を記載することが必要になります。

LINEが現在、利用者に示している個人情報に関する指針では、利用者の同意を得た場合や法律で認められる場合に個人情報を第三国に移転することがあるなどと記載していますが、具体的な国名までは示されていません。

このため会社では、説明が不十分だったとして記載を見直すとともに、日本国外での管理の在り方について検討を急ぐことにしています。