お花見 行っていいの?

お花見 行っていいの?
「春爛漫(らんまん)」
そのことばだけで心踊る人も多いと思います。ことしは全国的にかなり早い桜の便り。

緊急事態宣言も解除され「お花見ぐらい行きたいな」と思う一方で、不安に感じることもあります。

新型コロナの感染が広がる中で、どう楽しめばいいか、探りました。

(ネットワーク報道部 記者 小宮理沙 目見田健 藤島新也 田隈佑紀)

桜の名所 ことしは様変わり

例年多くの花見客でにぎわう名所は、ことしはどんな様子なのでしょうか。

東京の代々木公園を訪ねると、すっかり様変わりしていました。

桜の木がある広場にはオレンジ色のネットが張り巡らされ、舗装された遊歩道から入れなくなっていました。
近くには、宴会や飲食について注意を呼びかける看板が。

「酒類を伴う宴会(パーティー)行為、シート等を広げての飲食、野外卓やベンチでの飲食を全面的に禁止させていただきます」

期間は3月15日から4月11日まで。

訪ねた日(3月22日)はちょうど、気象庁が東京でサクラが満開になったと発表しましたが、訪れた人たちは木のすぐ近くには入ることができず、少し離れた遊歩道から見上げたり、写真に収めたりしていました。

飲食・宴会はダメ 催しの中止も

東京都の担当者に話を聞くと、代々木公園にあったような立ち入り制限エリアは上野公園と井の頭公園でも設けられています。ほかの公園でも人出が増えれば設定する可能性があるということです。

さらに、都の建設局が管轄する83の公園で、4月11日までをめどに、シートなどを広げての飲食や酒類を伴う宴会を禁止しているそうです。

桜を眺めながら散歩することまでは禁じていないそうですが、その際もマスク着用や混雑を避けるなどの対策を求めています。
東京都公園課の担当者
「日本の文化として花見は飲食や宴会を伴うことが多く、どうしても大勢の人が同じ場所に長時間とどまってしまう傾向がある。感染拡大を抑えるため、なんとかご理解いただきたい」
政府の分科会も、新型コロナの再拡大を防ぐ対策として「花見は宴会をせずに行うこと」と提言しています。

かつては夜桜を楽しめるライトアップなども行われていた東京の「中目黒桜まつり」のほか、例年90万人ほどの人でにぎわう静岡県河津町の「河津桜まつり」など、催しを中止するところも出ています。

あえて開催する地域も

そんな中、感染者が多い状態が続く首都圏でもあえて祭りを実行しようという地域があります。

横浜市都筑区で行われる「北山田さくらまつり」です。

これまでは、例年、週末の2日間でおよそ2万人が訪れていました。

主催する商店街は、去年、新型コロナの影響で季節の祭りをすべて中止しましたが、今回、横浜市とも協議して、感染対策を徹底した上で3月27日と28日の週末に開催することを決めました。
北山田商業振興会 平林隆義会長
「コロナで厳しい状況が続く地域経済にとって非常に重要なイベントで、なんとか開催できる道を探りました」

“ビールはふた付き”

「宴会はだめでも、飲食物の提供は行って、地域経済を少しでも回したい」

そこで考えたのが「飲食物は持ち帰る」というルールでした。

会場での飲食は禁止で、ビールもふた付きの容器で提供します。

花をめでたあとにごちそうや飲み物を買い求め、自宅などで楽しんでもらおうというわけです。

ほかの対策も徹底します。

感染者が出た場合に追跡調査ができるよう名前や連絡先を登録し、検温をしないと会場に入れないようにします。

会場の混雑状況が分かる映像をリアルタイムで配信し、来場前に確認できるようにするほか、数に限りはありますが有料で抗体検査を受けることもできるということです。
北山田商業振興会 平林隆義会長
「コロナ禍でのイベント開催は悩ましい部分もありますが、対策を徹底すれば地域の催しを開くことも可能だという実例をぜひ示せたらと考えています」

安全な花見にするには

花見に訪れる人たちは、どうすれば安心・安全に楽しむことができるのでしょうか。

厚生労働省の専門家会合のメンバーで国際医療福祉大学の和田耕治教授に聞きました。
国際医療福祉大学 和田耕治 教授
「花を見るだけで感染するわけではありません。どういう顔ぶれで行くのか、飲食をするのかなど、花見のしかたが大事なんです」
感染対策の基本

マスクを着ける

混雑を避ける
もしもほかのグループがいて気になる場合は、2メートルほど距離を置くことで感染リスクを下げられるということです。
花見で気をつけること

同居する家族など「いつものメンバー」に限る

飲食の機会を減らす
久しぶりに友人と「どこかに行こう」などという場合もあるかもしれませんが、ふだん会わない人と一緒に出かけるのは極力避けてほしいとしています。
国際医療福祉大学 和田耕治 教授
「首都圏の緊急事態宣言は解除されましたが、感染の再拡大や第4波のような兆しが見えているところもあります。しっかりと対策をとってほしい」
そのうえで、和田教授はこんなことも話していました。
「会話をしなければ、写真を撮るその短時間だけマスクを外してもリスクはある程度抑えられます。撮影が終わったら必ずマスクを着け直してください」
感染対策のツボをしっかりと押さえるのが大事です。

各地の桜を自宅で

やはり出かけるのは不安だという人もいると思います。

そんな場合は自宅で桜を満喫してはいかがでしょうか。

その方法の1つが、インターネットで見る花見です。
千葉県柏市に本社がある、ドローンを使った撮影や映像の提供を手がける会社では、2月から全国各地の桜の映像をインターネットで無料で配信しています。

全国50か所以上の名所で去年、ドローンを使って撮影しました。

種類の異なる桜が咲き誇る山や、まっすぐに伸びる川沿いの並木、それに寺の境内を彩る花などを鳥になった気分で楽しめ、画面の大きいテレビなどに映し出せばさらに堪能できるということです。

今後、生中継やことしの映像の配信も予定しているそうです。
ドローンエンタテインメント 横田淳代表
「家にいながらにして、全国各地の最高の花を間近に眺めることができます。コロナの影響で移動したくてもできない人が多い中、離れて暮らす両親や恋人などと同時に映像を見ることもできるので、楽しんで欲しいです」

家で本物の花を

映像だけでなく、自宅で「本物の桜」を楽しむこともできます。

神奈川県逗子市に住む30代の男性は、3月はじめ、自宅近くの生花店で桜の枝を購入。

花瓶に生けてテーブルに飾り、楽しんだそうです。
男性
「花屋さんの前で、妻と『ことしはお花見に行きにくいかもね』という話になり、その場で買い求めました。日に日に花が開いていく様子を1週間ほど楽しむことができました」
東京 港区の生花店では桜の枝を買い求める人が増え、その売り上げは去年より20%ほど伸びているそうです。

桜の枝に加え、器やこけ、石などをセットにした「お花見キット」も注目されています。
鳥取県北栄町の生花店が販売するのは、自分で枝を器に入れ、春を迎えた公園の雰囲気を再現できるというものです。

プレゼントとしても人気で、今は入荷待ちの状態だということです。
花工房あげたけ 社長 根鈴啓一さん
「コロナの影響で社会が暗くなっていますが、思い思いに桜を植えたり、命の通った本物の桜に触れたりする中で、心の中が少しでも明るくなればと思っています」

いつかふだんの花見ができるように

ことしの桜、コロナが流行しても季節はちゃんと巡っていることを知らせてくれているようにも感じます。

いつかまた、これまで通りの花見ができるように、知恵と工夫で過ごす春となりそうです。