国際

ウイグルの人権問題で欧米が制裁 中国は反発 日本の対応は

中国の新疆ウイグル自治区の人権問題をめぐって、欧米各国は歩調を合わせる形で自治区の当局者らに制裁を科しました。
さらに、アメリカやイギリスなど5か国の外相は、現地で人権侵害が行われていることを裏付ける「圧倒的な証拠」があるとする共同声明を発表し、一致して中国に圧力をかける姿勢を鮮明にしました。
これに対し中国は強く反発しています。
アメリカ、イギリス、カナダの3か国と、EU=ヨーロッパ連合は22日、中国の新疆ウイグル自治区での人権侵害に関わったとして自治区の当局者らに対し、資産凍結などの制裁を発動しました。

欧米各国は、歩調を合わせて制裁を科すことで、一致して中国に圧力をかける姿勢を鮮明にした形です。EUが中国に制裁を科すのは1989年の天安門事件以来となります。
さらに、諜報活動で深い関係にある「ファイブ・アイズ」と呼ばれるアメリカ、イギリス、カナダ、それにオーストラリアとニュージーランドの5か国の外相は新疆ウイグル自治区の人権問題について、共同声明を発表しました。

声明は、現地では宗教の自由が厳しく制限されているほか、強制労働や、大規模な強制収容、さらに不妊手術の強要などが広範囲にわたって行われていて、これらが「人権侵害と虐待」にあたるとしています。

そして衛星写真や、中国政府が作成した文書、それに目撃者の証言など、人権侵害を裏付ける「圧倒的な証拠」があると指摘し、中国政府に対し拘束されているウイグル族などの解放と、国連による現地での調査を認めるよう求めました。

EU 対中国政策を転換

EU=ヨーロッパ連合が中国への制裁に踏み切った背景には、経済的な観点から中国との結びつきを強めようというこれまでの方針から、EUの基本的な価値観である人権をより重視しようという方針への転換があります。

EUは去年12月、深刻な人権侵害に関わったと認めた人物や団体に対して制裁を科す制度を導入し、今回の中国への制裁もこの制度に基づき行われました。

同じ去年12月、EUの議会、ヨーロッパ議会も、「新疆ウイグル自治区では中国政府主導で強制労働が行われ、人間の尊厳や文化、宗教、言論の自由が侵害されている」として、中国への制裁を後押しする決議を採択しました。

また、加盟国レベルでもオランダの議会が2月、新疆ウイグル自治区で、民族などの集団に対し破壊する意図をもって危害を加えるいわゆる「ジェノサイド」が行われているとして、非難する決議を採択し、中国への圧力を強めていました。

こうした中、EUの外相にあたるボレル上級代表は3月発表した論説で、EUのアジア太平洋戦略の見直しについて言及しました。

この中で、中国は無視できない大国だとする一方、「アジアは広く多様性があり、中国ばかりを見るべきではない」として日本やインドなど価値観を共有するアジア各国との連携強化を訴えていて、EUのアジア太平洋戦略の見直しも中国に厳しい姿勢で臨む背景になっています。

米国務省 日本の対応「日本が決めること」

今回の中国に対する制裁の発動は、EUにはフランス、ドイツ、そしてイタリアも加盟していることから、G7=主要7か国では日本以外の国すべてが足並みをそろえた形になります。

アメリカ国務省のポーター副報道官は22日の電話会見で、日本も同様の制裁を科すべきかと問われたのに対し「日本が自分たちで決めることについて、私たちが何かを勧めるようなことはない」と述べ、日本の判断に委ねるとの立場を示しました。

加藤官房長官 「中国側に強く働きかけることが重要」

加藤官房長官は、閣議のあとの記者会見で「新疆ウイグル自治区については、重大な人権侵害が行われているとの報告が数多くなされており、わが国として、人権状況を深刻に懸念し、中国政府に対し、透明性のある説明を行うよう働きかけている。引き続き、国際社会が緊密に連携し、中国側に強く働きかけることが重要だ」と述べました。

茂木外相「ワンボイスでどう働きかけしていくかが問題」

茂木外務大臣は記者会見で「アメリカに加えて、EU、イギリス、カナダが中国への措置を新たに発表したが、わが国としても、新疆ウイグル自治区の人権状況については真剣に懸念しており、中国政府に透明性のある説明をするよう働きかけを行っている」と述べました。

そのうえで「国際社会が緊密に連携して中国に強く働きかけていくことが重要であり、問題は、ワンボイスでどう働きかけをしていくかだ。日本として今後、どう対応していくかについては、さらに検討を深めていきたい」と述べました。

中国は反発

これについて中国の王毅外相は23日、南部・桂林でロシアのラブロフ外相と会談したあと、記者会見し「うそに基づく制裁は、受け入れられない。すべての良識ある国や人々は、あらゆる形式の一方的な制裁と内政干渉に反対すべきだ」と述べ、反発しました。

また、23日、両国の外相が発表した共同声明でも人権問題を政治化することに反対し「民主主義の推進」を口実にした内政干渉は受け入れられないとして欧米などをけん制しました。

また、中国外務省の華春瑩報道官は、23日の記者会見で「新疆ウイグル自治区の各民族は、安定や発展を享受しているのに一部の政治家は、この事実を認めようとしない。彼らは、人権を口実にして、中国の内政に干渉し、中国の発展を抑えようとしている」と非難しました。

そして「列強が大砲を設置すれば、中国の門戸を開くことができた時代は既に終わっている。国益や民族の尊厳を守ろうとする中国人民の確固たる意志を甘く見ない方がいい。彼らは、その愚かさと傲慢さの代償を払うことになるだろう」とけん制しました。

さらに「アメリカ、イギリス、カナダにEUを加えた人口は世界の総人口の11%程度に過ぎない。これらの国々の声は、国際世論を代表していないし、国際社会の立場を代表していない」と反論しました。


中国政府は、EUへの対抗措置としてヨーロッパ議会の一部の議員や団体などに対して制裁を科すと発表したほか、北京にあるEU代表部の大使を呼び抗議するなどしていて反発を強めています。

ロシア外相 中国を支持する姿勢強調

ロシアのラブロフ外相は中国の王毅外相との会談後に行った記者会見で「ロシアや中国に対する制裁は正当性がなく、一方的なものに過ぎない。こうしたやり方は受け入れられないという点でロシアと中国は同じ立場だ」と述べ、中国を支持する姿勢を強調しました。

EUは、ロシアが7年前、ウクライナ南部のクリミアを併合したことやことし1月、プーチン大統領を批判してきた野党勢力の指導者ナワリヌイ氏が逮捕されたことなどを受けて、ロシアに対してこれまでもたびたび制裁を科しています。

ロシアとしては、中国と足並みをそろえることでEUへの非難を強めたい狙いがあるものとみられます。

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