菅首相「宣言解除は総合的に判断」対策徹底を強調 参院予算委

緊急事態宣言が期限の21日で解除されることについて参議院予算委員会の集中審議で、立憲民主党が懸念の声が広がっているとただしたのに対し、菅総理大臣は感染状況や医療提供体制などを総合的に判断した結果だと説明するとともに、感染の再拡大防止に向け対策を徹底する考えを強調しました。

▼自民党の山田宏氏は通信アプリ大手、LINEをめぐり「中国の関連会社から日本人の個人データがのぞき見られる状況が続いていた。機微な情報を扱う政府では、当面、LINEの使用を停止すべきだ」と指摘しました。
これに対し菅総理大臣は「政府では、LINEを含めて、民間企業が不特定多数の利用者に向けて、インターネットに提供するサービスを利用する際は、機密情報を取り扱わないことになっている。利用状況を改めて確認しており、結果も踏まえ、セキュリティーの確保に努めていきたい」と述べました。
▼立憲民主党の蓮舫代表代行は、1都3県の緊急事態宣言が期限の21日で解除されることについて「評価する声もある一方、懸念と不安と不信の声が広がっているのも事実だ。今、解除してしまって、本当に大丈夫なのか」とただしました。
これに対し菅総理大臣は「大丈夫だ。感染状況や医療提供体制などを踏まえ、総合的に判断することになっている。新規感染者数が8割以上、減少していることも事実だ。ただ、これでいいとは思わないし、横ばいや微増になっていることも事実だ。再度の感染拡大にならないよう対策をしっかりやって、何としてもリバウンドは防ぎたい」と述べました。
▼公明党の杉久武氏は「新規感染者数は下げ止まっており、リバウンドを心配する声も少なくない。宣言を解除しても、感染拡大を防ぐ対策を継続して国民の心配に応えていくことを丁寧に説明してほしい」と求めました。
これに対し菅総理大臣は「飲食店の時間短縮の継続や、変異株に対する監視体制の強化などをしっかり講じていく。さらに、リバウンドがあった場合、感染者が効果的に療養できる体制作りを進めている。再拡大を絶対に阻止し、1日も早く収束させるために引き続き緊張感を持って取り組んでいきたい」と述べました。
▼日本維新の会の片山共同代表は財政健全化について「歴代の政府は、プライマリーバランス=基礎的財政収支をばかにしているのではないか。黒字化を2025年度に達成するとしているが、新型コロナウイルスがあっても変えておらず、かなり無理がある」と指摘しました。
これに対し菅総理大臣は「コロナ対策に全力を尽くしていくのが第1だが、財政健全化の旗も降ろさず、黒字化に向けて、改革を続けていく方針だ。ただ、2025年度の黒字化目標は『骨太の方針』の策定に向けて、目標の達成状況などをしっかり議論し、方向性を示していきたい」と述べました。
▼国民民主党の川合孝典氏は緊急事態宣言の解除について「1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す『実効再生産数』は、感染拡大の傾向を示す数字が出ている。上がっているにもかかわらず解除を決めた根拠は何だったのか」とただしました。
これに対し西村経済再生担当大臣は「『実効再生産数』は、研究者によって方法や推定も変わる。参考にするが、『ステージ』を判断する指標に入れているわけではない。指標のうち、特に病床の使用率が30%台までになり、取り組みの成果が出ているので、総合的に判断した」と説明しました。
▼共産党の山下芳生氏は感染の再拡大を防ぐためのモニタリング検査について、「1日1万件を目指す政府の方針は、あまりにも少ないと言わざるをえない。『1日10万件』という高い目標を持つべきだ」とただしました。
これに対し西村経済再生担当大臣は「1日1万件だけで、感染拡大の予兆をつかもうとは思っていない。行政検査も、日々、5万件や6万件行っているし、民間では、独自に1日1万件程度、行っている会社もある。こういったデータをすべて合わせて、人工知能などを使って予兆を分析していきたい」と述べました。
また、茂木外務大臣は、ミャンマー情勢をめぐり、3月27日に予定されている国軍記念日の式典に、日本政府の関係者は派遣せず、引き続き、日本独自の立場に基づいて、暴力の停止や民主的な体制の回復を働きかけていく考えを示しました。