コロナ感染 首都圏1都3県では下げ止まり 解除地域では拡大も

緊急事態宣言の解除が決まりましたが、感染状況を示す指標の1つで1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す「実効再生産数」をNHKが簡易な手法で計算したところ、緊急事態宣言が出ている中でも首都圏の1都3県では収束には向かわず、下げ止まりの状態が続き、すでに解除されている関西や福岡県では感染が拡大する傾向がみられます。

NHKは疫学の専門家の監修を受け、緊急事態宣言が出されている1都3県と先月末に解除された地域について、18日までのデータに基づいて簡易な手法で実効再生産数を独自に計算しました。

実効再生産数は、1人の感染者から何人に感染が広がるかを示し、「1」を上回ると感染が拡大に向かう一方、「1」を下回ると収束に向かうとされています。

より正確に出すには発症日を推定して計算するなど、さらに多くの条件を考慮する必要がありますが、時間がかかるため、あくまで目安の数値として確認された日ごとの感染者数をもとに簡易な手法で計算しています。

東京都

東京都の実効再生産数は、先月25日の時点で0.84、今月4日の時点で0.97と「1」を下回っていましたが、今月11日時点で1.01と「1」を上回り、18日の時点でも1.06と「1」を上回っています。

神奈川県

神奈川県では、先月25日時点で0.95、今月4日の時点で1.05、今月11日時点で0.96、18日の時点でも0.94と「1」前後で推移しています。

埼玉県

埼玉県では、先月25日時点で0.81、今月4日の時点で0.98と「1」を下回っていましたが、今月11日時点で1.06と「1」を上回り、18日の時点でも1.07と「1」を上回っています。

千葉県

千葉県では、先月25日時点で0.98、今月4日の時点で1.02、今月11日時点で0.88、18日の時点でも0.97と、「1」に近い水準で推移しています。

また、1都3県全体では、先月25日時点で0.88、今月4日時点で1.00、今月11日時点で0.98、18日の時点では1.02と「1」前後で推移していて、緊急事態宣言が出ている中でも収束には向かわず、感染の下げ止まりの状態が続いています。

愛知県

一方、先月末に解除された地域で、愛知県は緊急事態宣言が解除される直前の先月25日時点では0.77と「1」を下回っていましたが、今月4日時点で1.04と「1」を上回り、今月11日時点で0.90、18日の時点で0.98と「1」前後で推移しています。

岐阜県

岐阜県は感染者数が少なくなっていて、単独では統計学的に信頼性が低くなるため示していません。

大阪府

大阪府は、緊急事態宣言が解除される直前の先月25日時点で0.83、今月4日時点で0.95と「1」を下回っていましたが、今月11日時点で1.04と再び「1」を上回り、18日の時点では1.27と上昇し、感染が拡大する傾向がみられます。

京都府

京都府は、今月初めにいったん感染者数が少なくなったことから統計学的に信頼性が低くなるため示していません。

兵庫県

兵庫県は、先月25日時点で0.68でしたが、今月4日時点では1.02と再び「1」を上回り、今月11日時点で1.16、19日の時点では1.44と上昇し、感染が拡大する傾向となっています。

関西の2府1県では、先月25日時点で0.77、今月4日時点で0.94、今月11日時点で1.13、18日の時点では1.27と上昇し、感染が拡大する傾向がみられます。

福岡県

福岡県は、先月25日時点で0.71、今月4日時点で0.79でしたが、今月11日時点で1.00、18日の時点では1.11と「1」を上回り、下げ止まりの状態から、やや拡大する傾向がみられます。

全国

また、全国では、先月25日時点で0.85、今月4日時点で0.99と「1」を下回っていましたが、今月11日時点で1.04と「1」を上回り、18日の時点でも1.07となっています。

※疫学の専門家の監修のもとNHKが簡易な手法で計算

専門家「しばらくは宣言に準じた状態自覚を」

日本感染症学会の理事長で東邦大学の舘田一博教授は「緊急事態宣言の解除が決まったが、1都3県では感染が収まったとは言えず、まだ安心できる状況ではない。また、関西で感染拡大の傾向が顕著になってきており、今後、『リバウンド』につながっていかないか心配な状況で、本格的に拡大防止の対策を考える時期に来ているのではないか。1都3県でも宣言が解除されると、さまざまな社会、経済活動が活発になると考えられ、2、3週間後には感染が再び拡大している可能性が否定できない。まだしばらくは緊急事態宣言に準じた状態にあるのだということを自覚して、昼夜を問わず飲食の場への参加は控えるなど一人一人が引き続き対策に努めてほしい」と話しています。