アストラゼネカなどが開発のワクチン EU当局「安全で効果的」

アストラゼネカなどが開発した新型コロナウイルスのワクチンで接種後に血栓が確認されたことについて、EU=ヨーロッパ連合の医薬品規制当局は調査結果を公表し、「安全で効果的なワクチンだ」とする見解を示しました。

アストラゼネカなどが開発したワクチンをめぐっては、接種後に血栓が確認された例があるなどとして、ドイツやフランスなどヨーロッパ各国が予防的な措置として接種を見合わせています。

これを受けて詳しい調査を進めてきたEMA=ヨーロッパ医薬品庁は18日、記者会見でその結果を公表し、「安全で効果的なワクチンで、新型コロナウイルスから人々を守るメリットはリスクを上回る」とする見解を示しました。

一方で「血栓ができるまれなケースとワクチンの間の因果関係を完全には排除できない」とも述べ、調査を続ける考えを示しました。

これを受けてフランスやイタリアが早ければ19日に接種を再開すると相次いで発表するなど、ヨーロッパでは接種を再び進める動きが出ています。

アストラゼネカのワクチンについては、WHO=世界保健機関も血栓とワクチンの間に必ずしも関係があるとは言えないとして、接種によるメリットがリスクを上回るという認識を示しています。
アストラゼネカのワクチンの接種を続けているイギリスでは、規制当局が18日、このワクチンによって血栓ができることを示す根拠はないという見解を改めて示しました。

イギリス国内でこれまでに接種した1100万人のデータを見直した結果、接種後に血栓が確認されたという報告は5件と100万人に1人以下の割合で、接種していなくても自然にできる可能性があるとしています。

ジョンソン首相は18日の会見でワクチンの安全性を強調し「ウイルスに感染することこそが安全ではない」などと述べたうえで、19日にみずから、アストラゼネカのワクチンの接種を受けることを明らかにしました。

フランス イタリア ドイツなどは接種再開の方針

EMAの調査結果の公表を受け、アストラゼネカなどが開発したワクチンの接種を見合わせてきたフランスやイタリア、それにドイツなどは相次いで接種を再開する方針を発表しました。

このうちフランスのカステックス首相は記者会見で「このワクチンが信頼できることを示すために自分も接種する」と述べて、19日にもアストラゼネカのワクチンの接種を再開する考えを示しました。

また、ドイツのシュパーン保健相も記者会見で「私たちの目標はあすのうちにアストラゼネカのワクチンの接種を再開することだ」と述べ、19日にも再開する方針を示しました。

このほか、イタリア政府も早ければ19日から、スペイン政府は来週の24日から接種を再開するとしています。

アストラゼネカ 「今後も緊密に連携していく」

アストラゼネカはEMAの調査結果の公表などを受けて、18日に声明を発表し、ワクチンの安全性に関するEMAの見解を歓迎したうえで「ワクチンの適切な使用のために、今後も各国の保健当局と緊密に連携していく」としています。

そして「安全性は最優先事項であり、アストラゼネカは、有害事象についての報告やその分析などをしっかりと行い、各国の規制当局と情報を共有している」と強調しました。

田村厚生労働相 「非常に朗報 承認されれば接種体制に含め対応」

田村厚生労働大臣は、閣議のあと記者団に対し「EUの医薬品規制当局が『大丈夫だ』と評価し、フランスでも接種を再開して、首相も接種をするとのことで、非常に朗報だ。日本では審査をしている最中だが、承認されれば、接種体制にアストラゼネカのワクチンも含めて対応していくことになるだろう」と述べました。