東京都モニタリング会議 専門家 感染急拡大に強い警戒感示す

東京都内の新型コロナウイルスの感染状況などを分析・評価する「モニタリング会議」が開かれ、新規陽性者数の7日間平均の減少傾向が止まり、前の週を上回ったことが報告されました。専門家は「今後、花見や歓送迎会などで人の流れが増加すれば、年末年始を超える急激な拡大も危惧される」と述べ、第3波を上回る感染の急拡大に強い警戒感を示しました。

18日の会議で、専門家は都内の感染状況と医療提供体制をいずれも4段階のうち最も高い警戒レベルで維持しました。

このうち感染状況について、新規陽性者数の7日間平均は、今月10日時点のおよそ262人から17日時点はおよそ293人となり、前の週からの増加比は112%で7週間続いた減少傾向が止まり、高い水準のまま100%を超えたと報告しました。

そのうえで「第2波では新規陽性者数がピーク時の346人から十分に減少せず、およそ150人から200人の間で増減を繰り返したあと、急激に感染が再拡大して第3波を迎えた。今回は250人以上で推移している」と指摘しました。

そして「今後、変異ウイルスなどによって急激に感染の再拡大が起こる可能性がある。花見や歓送迎会、卒業旅行などの行事によって、例年どおりに人の流れが増加すれば、年末年始を超える急激な拡大も危惧される」と述べ、第3波を上回る感染の急拡大に強い警戒感を示しました。

一方、医療提供体制については「重症患者は減少傾向が続いていたが、下げ止まりが見られる。感染の再拡大を想定して、病床や宿泊療養、自宅療養の体制確保について早急に検討する必要がある」と強調しました。

小池知事「ここで気を緩めるわけにはいかない」

小池知事は緊急事態宣言が解除されることを踏まえ、「ここで気を緩めるわけにはいかない。『ハンマー・アンド・ダンス』ということばがあるが、決してダンスの時間が来たわけではない。むしろこれからも感染防止対策を徹底する必要がある。何としても感染の再拡大を防いでいかなければならず、都民や事業者には引き続きの協力や理解をよろしくお願い申し上げる」と述べました。

都内の感染状況

18日のモニタリング会議で示された都内の感染状況と医療提供体制についての分析結果です。

新たな感染の確認は、17日時点の7日間平均が293.0人と前の週からおよそ30人増加しました。7週連続で減少していましたが、増加に転じました。

専門家は「新規陽性者の減少傾向が高い水準のまま止まった。第3波を超えるような経過をたどらないよう十分な警戒が必要である」と指摘しています。

そして「緊急事態宣言が再延長されたあと、主要な駅や繁華街での人の流れはむしろ増えている。最近は歓送迎会や卒業パーティーなどで感染する例が見られている。宣言の解除後には感染者数が急激に増加する可能性を十分認識し、人と人との距離を十分にとり、今一度、実効性のある対策を徹底する必要がある」と呼びかけました。

今月15日までの1週間に感染が確認された人を年代別の割合でみると、
▼20代が最も多く20.3%、次いで
▼40代が16.0%、
▼30代が15.1%、
▼50代が12.5%、
▼70代が9.2%、
▼80代が7.7%、
▼60代が7.6%、
▼10代が5.8%、
▼10歳未満が4.0%、
▼90代以上が1.8%でした。

このうち、10代と40代の割合が上昇しました。

65歳以上の高齢者は437人で前の週より19人減少しましたが、新規陽性者に占める割合は22.0%でほぼ横ばいでした。

感染経路がわかっている人のうち
▼家庭内での感染が44.1%で最も多く、次いで
▼病院や高齢者施設などの施設内が36.7%でした。

70代の58.6%、80代以上の77.4%が施設内での感染でした。このほか、職場での感染は前の週より1.5ポイント増えて8%でした。

専門家は「テレワークや時差通勤・通学の拡充は人の流れや密な環境を減らすことに高い効果が期待され、これまで以上に積極的な活用が求められる」と指摘しています。

また「感染の広がりを反映する指標」としている感染経路がわからない人の7日間平均は、17日時点で140.7人で、前の週より16人増え、増加に転じました。

専門家は「20代から40代では感染経路のわからない人の割合が50%を超えていて、保健所での疫学調査による接触歴の把握が難しい状況が続いている」と指摘しています。

都内の医療提供体制

検査の「陽性率」は17日時点で3.5%と先週の3.3%からほぼ横ばいでした。

入院患者は17日の時点で1270人で今月10日の時点より63人減りましたが、専門家は「第3波の拡大前と比べて高い水準だ」と指摘しています。

また「通常医療への影響が長期間続いている。現在の医療提供体制では変異ウイルスによる急激な感染の再拡大には対応できなくなる危険性がある」と危機感を示しました。

そのうえで、「再拡大を想定して病床や宿泊療養、自宅療養の体制確保のための戦略を早急に検討する必要がある」と指摘しました。

また、都の基準で集計した17日時点の重症患者は今月10日の時点より2人増えて41人となり、専門家は「1月下旬をピークとして減少傾向が続いていたが、新たな発生も続き下げ止まりがみられる」と分析しています。

今月15日までの1週間では110人が亡くなったと都に報告があり、前の週の84人から26人増えました。

亡くなった110人のうち9割以上にあたる101人が70代以上の高齢者でした。