新型コロナによる休校での保護者支援制度 本人の申請可能に

新型コロナウイルスの影響による学校の休校などで、仕事を休まざるを得なかった保護者を支援する制度について、厚生労働省は利用できないという声が相次いでいたことから、本人が申請できるよう制度を見直しました。

新型コロナウイルスの影響による学校の休校などで、仕事を休まざるを得なかった保護者を支援するため、厚生労働省は労働基準法上の年次有給休暇とは別に、賃金が支払われる有給の休暇を取得させた企業に、その費用を助成する制度を設けています。

支給が決定したのは、今月5日の時点で14万1135件、金額にして475億円に上ります。

しかし「勤務先の企業が申請しないために利用できない」という声が相次いだため、厚生労働省は、労働局が働きかけを行っても企業が申請をしない場合は保護者本人が申請できるよう制度を見直しました。

具体的には、去年2月から3月までの分は保護者からの申請に基づき、実際に仕事を休んだことを企業に確認できた場合、1日あたり8330円を上限に本人に支給します。

また、去年4月以降は「休業支援金」の制度を活用し、1日あたり1万1000円を上限に、直接支給します。

この助成制度については、全国の労働局に相談窓口が設置されていて2月までに寄せられた400件の相談のうち、154件について労働局が企業に対して申請するよう働きかけましたが、実際に申請するなどしたのは半数程度にとどまっています。

厚生労働省は、企業に引き続き申請を呼びかけるとともに、保護者などへの制度の周知にも力を入れたいとしています。

署名活動などを行い見直しを求めてきた人は

休校や休園で仕事を休まざるを得なくなった保護者を支援する制度について、個人でも申請できるよう署名活動などを行って求めてきたひとり、札幌市の田中小夏さんは、今回の見直しを受け「去年3月からの休校で仕事を休まざるを得ず、家計が苦しくなったものの、会社が助成金を申請してくれず制度を使えないまま1年がたとうとしていた。多くの保護者が同じように困っていたので、個人で申請できるようになるのはとてもありがたいです。多くの人に届くよう周知してほしい」と話していました。

一方で「休まざるを得なかった人がいる一方で、子どもを家において働かざるを得なかった人もいたと思うので、これを機に、子育てしている人が安心して働け、安心して休める社会にするにはどうしたらいいか、みんなで考えていきたい」と話していました。