首都圏1都3県 感染者数 下げ止まりの状態続く

緊急事態宣言が出されてから12日で9週間、1都3県での延長が決まって1週間がたちます。感染状況を示す指標の1つで、1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す「実効再生産数」をNHKが簡易な手法で計算したところ、1都3県では依然として感染者数の下げ止まりの状態が続いています。

NHKは疫学の専門家の監修を受け、緊急事態宣言が出されている1都3県と先月末に解除された地域について11日までのデータに基づいて簡易な手法で実効再生産数を計算しました。

実効再生産数は1人の感染者から何人に感染が広がるかを示し、「1」を上回ると感染が拡大に向かう一方、「1」を下回ると収束に向かうとされています。

より正確に出すには発症日を推定して計算するなど、さらに多くの条件を考慮する必要がありますが、時間がかかるため、あくまで目安の数値として確認された日ごとの感染者数をもとに簡易な手法で計算しています。
(※今後、公的な機関などが発表する実効再生産数のデータと結果的に異なる場合があります)

東京

東京都の実効再生産数は、
▽先月25日の時点で0.84、
▽今月4日の時点で0.97と「1」を下回っていましたが、
▽11日の時点では1.01と「1」を上回りました。

神奈川

神奈川県では
▽先月25日時点で0.95、
▽今月4日の時点で1.05、
▽11日の時点では0.96と「1」前後で推移しています。

埼玉

埼玉県では
▽先月25日時点で0.81、
▽今月4日の時点で0.98と「1」を下回っていましたが、
▽11日の時点では1.06で「1」を上回りました。

千葉

千葉県では
▽先月25日時点で0.98と徐々に数値が上がり、
▽今月4日の時点で1.02、
▽11日の時点では0.88と「1」に近い水準で推移しています。

また、1都3県全体では
▽先月25日時点で0.88、
▽今月4日時点で1.00、
▽11日の時点では0.98と、依然として感染者数の下げ止まりが続いています。

すでに解除された地域

先月末にすでに解除された地域です。

愛知

愛知県は緊急事態宣言が解除される直前の先月25日時点では0.77と「1」を下回っていましたが、
▽今月4日時点で1.04と「1」を上回り、
▽11日の時点では0.90と「1」前後で推移しています。

岐阜

岐阜県は
▽先月25日時点で0.67、
▽今月4日時点で0.72と「1」を下回っています。
なお、
▽11日までの1週間については、感染者数が少なくなったことで、岐阜県単独では統計学的に信頼性が低くなるため示していません。

大阪

大阪府は緊急事態宣言が解除される直前の先月25日時点で0.83で、
▽今月4日時点で0.95と「1」を下回っていましたが、
▽11日の時点では1.04と再び「1」を上回りました。

京都

京都府は
▽先月25日時点では0.65で、
▽今月4日時点では感染者数が少なくなったため、統計学的に信頼性が低くなるため示していませんでした。
▽11日の時点は、再び感染者数が増え始め2.07と「1」を上回っています。

兵庫

兵庫県は
▽先月25日時点で0.68でしたが、
▽今月4日時点では1.02と再び「1」を上回り、
▽11日の時点でも1.16となっています。

また、関西の2府1県では
▽先月25日時点で0.77、
▽今月4日時点で0.94、
▽11日の時点では1.13と「1」を上回っています。

福岡

福岡県は
▽先月25日時点で0.71、
▽今月4日時点で0.79、
▽11日の時点では1.00と、感染者数が下げ止まった形となっています。

全国

全国では
▽先月25日時点で0.85、
▽今月4日時点で0.99と「1」を下回っていましたが、
▽11日の時点では1.04と「1」を上回りました。
東邦大学 舘田一博教授(日本感染症学会の理事長)
「緊急事態宣言が出されている1都3県で、先週に引き続き1を超えた地域がみられるほか、先に宣言が解除された関西の2府1県や福岡県で感染の拡大傾向が明確になりつつあるなど『リバウンド』の兆候が出ている可能性がある。特に宣言の効果があるはずの1都3県で拡大傾向の地域が出続けているのが心配される。気の緩みが徐々に大きくなっているおそれもあり、このまま拡大に転じれば解除の議論も難しくなると考えられる。厳しい状況になりつつあるという自覚を持って、緊急事態宣言の残りの期間でより一層対策に努めていく必要がある」