アストラゼネカワクチン 接種見合わせでEU調査 英仏は接種継続

EU=ヨーロッパ連合の医薬品規制当局は、アストラゼネカなどが開発したワクチンについて一部の国が予防的な措置として接種の見合わせを決めたことを受けて、調査を進めていると発表しました。接種後に血栓が確認されたということですが、規制当局は今のところワクチンの接種がこれらの症状を引き起こしたことを示す情報はないとしています。

EUの医薬品規制当局は11日、EUとその周辺の国で、アストラゼネカなどが開発したワクチンを接種したあとに血栓が確認されたという報告が複数あったとして、調査を進めていることを明らかにしました。

デンマークは11日、予防的な措置として2週間接種を見合わせると発表しました。ノルウェーやアイスランドもこれを受けて接種を見合わせるとしています。

EUの医薬品規制当局は、接種後の血栓症のような事例の報告数は特段多いわけではないとしたうえで「今のところワクチンの接種がこれらの症状を引き起こしたことを示す情報はない。現時点では、接種して得られる利益のほうがリスクを上回る」としています。

このワクチンをめぐって、フランスは保健相が引き続き接種を進める方針を示したほか、これまでに1100万人以上がこのワクチンを接種しているイギリスも、これまでに報告された血栓の事例は自然に起こりうる数を上回るものではなく、接種を続けるとしています。

カナダ・オーストラリアも接種継続

こうした中、カナダの保健当局は11日「ヨーロッパで報告された健康に関する事例については承知しているが、カナダ国民にはワクチンを接種することでもたらされる利益は、リスクを上回ることを再認識してほしい」などとする声明を発表し、先月承認したアストラゼネカなどが開発したワクチンの接種を進める考えを示しました。

また、ロイター通信によりますと、オーストラリアの保健当局も、このワクチンが血栓の原因であることを示す証拠はないとして、接種を継続する方針を示したということです。