IOC総会 バッハ会長 選手や関係者に中国製ワクチン提供の考え

IOC=国際オリンピック委員会の総会はオンラインで2日目の会合が行われ、バッハ会長が、東京大会と北京大会について、希望する選手や関係者に対して中国製のワクチンを提供する考えがあることを明らかにしました。

IOCの定例の総会は今月10日から3日間の日程で始まり、2日目の11日は東京大会などこれから行われるオリンピックの組織委員会による準備状況の報告が行われました。

これに先立ちバッハ会長が発言を求め、中国のオリンピック委員会から「東京大会と北京大会の選手や関係者に対して中国製のワクチンを提供する」という申し出があったことを明らかにしました。

バッハ会長は「IOCが費用の負担を行う」と述べて、オリンピックとパラリンピックに参加する選手や関係者に中国製のワクチンを提供する考えがあることを明らかにしました。

参加者が2回接種できるだけのワクチンを確保できるとしています。

このあと東京大会組織委員会の報告が行われ、先月就任した橋本聖子新会長が、新型コロナ対策やジェンダー平等の推進など3つの重点対策などを報告し、武藤事務総長は、先週の5者協議での合意内容を踏まえ、海外からの観客の受け入れを聖火リレーが始まる今月25日より前に決めることなどを報告しました。

このあとIOC委員から海外の観客に関する質問があり、コーツ調整委員長は、受け入れを断念した場合にはチケットの払い戻しや宿泊のキャンセルなど課題は多岐にわたるとしたうえで「こうしたことについて迅速に話し合いを行い、来週までには皆さんにお伝えできるようにしたい」と述べて、結論を急ぐ考えを強調しました。

大会組織委「事前に話は全く聞いていない」

IOC総会のあと大会組織委員会は記者会見し、IOCのバッハ会長が東京大会と北京大会で希望する選手や関係者に中国製のワクチンを提供する考えがあることを明らかにしたことについて、武藤事務総長は「事前に話は全く聞いていない。ワクチンの接種は日本政府がやっていることなので、組織委員会としてはコメントする立場にない」と述べるにとどまりました。

一方、海外からの観客の受け入れについては、武藤事務総長がIOC総会での委員からの質問に対して、結論はまだ出ていないとしながらも、国内外で感染を広げるおそれがあることや、世論が非常に慎重になっていることなどをあげて「難しい状況だ」と説明し、受け入れを見送る場合は、チケットの払い戻しに応じることも明確にしました。

橋本会長は会見で「現在も協議を続けていて、結論が出たものではない。3月25日までに改めて5者で判断したい」と述べました。

また橋本会長は、東日本大震災から10年となったことについて「東京大会にとって復興への貢献は源流だ。犠牲になられ、つらい思いの中で一生懸命10年間にわたり復興に努めてこられたすべての皆様にとって、東京大会を通じて希望と夢が再び心の中にともされるような大会にしないといけないと、改めて思った」と述べました。

丸川大臣「承認が前提 現時点で日本選手は対象外」

丸川オリンピック・パラリンピック担当大臣は閣議後の記者会見で、IOC側からの事前の調整はなかったとしたうえで「中国製のワクチンが承認された国において判断することだろうと思う。日本で中国の企業が承認申請をしているかどうか把握していない」と述べ、現時点では日本の選手らは接種の対象にはならないという認識を示しました。

そのうえで「東京大会はワクチンを接種していなくても安心して参加と受け入れをできるようにするため、総合的な感染症対策をとることにしている。ワクチンの接種を前提としないという原則は変わらない」と述べました。

中国 報道官「IOCと協力しワクチン提供したい」

中国外務省の趙立堅報道官は、12日の記者会見で「我々はIOCと協力し、オリンピックに向け準備している選手たちにワクチンを提供したい」と述べました。

一方で、どのような枠組みで提供することになるのかなど、具体的なことについては「提供できる情報はまだない」としています。