変異ウイルス 5日から9日まで 7府県 77人感染確認

イギリスなど、海外で広がる変異した新型コロナウイルスは、日本でも感染が広がっています。9日までに、新たに7つの府県で77人の感染が確認されたことがわかりました。

厚生労働省によりますと、3月5日の前回の発表後から9日までに、国立感染症研究所のゲノム解析で変異ウイルスへの感染が新たに確認されたのは、7つの府県で77人にのぼりました。

内訳は、大阪府で50人、京都府で10人、神奈川県と広島県でそれぞれ7人、埼玉県と新潟県、兵庫県でそれぞれ1人となっています。

広島県は初めての確認となります。

海外で猛威をふるう変異ウイルスは、去年の12月末に国内で初めて確認されて以降、感染の拡大が止まりません。

▽去年12月は3人
▽ことし1月は21人でしたが
▽2月は134人と、大幅に増加。

さらに、
▽今月は9日までに、すでに113人にのぼっています。

9日までに、ゲノム解析によって国内で確認された変異ウイルスの感染者は、空港の検疫を除いて21の都府県で271人となりました。

都道府県別では、大阪府で62人、埼玉県で41人、兵庫県で38人、新潟県で32人、神奈川県で22人、京都府で19人、東京都で14人、静岡県で7人、広島県で7人、福島県で5人、鹿児島県で5人、岐阜県で4人、群馬県で3人、岡山県で3人、山梨県で2人、滋賀県で2人、栃木県で1人、茨城県で1人、千葉県で1人、長野県で1人、石川県で1人がゲノム解析によって、変異ウイルスが確認されています。

これ以外に空港の検疫が74人いて、国内全体では合わせて345人の感染が確認されています。

専門家「早い判断 早い対応が求められる」

感染が確認される地域が広がっている変異した新型コロナウイルスについて、公衆衛生学が専門で国際医療福祉大学の和田耕治教授は「徐々に地域のなかで変異株が従来のウイルスに置き換わろうとしている、その兆しが見えてきている状況と言えるのではないか。世界中で感染の主流が変異株に置き換わってきていて、日本でもそうした状況を考えておく必要がある。一方で、変異株を検出できる能力が向上し、見つけ出せる件数が増えてきているという側面もある」と指摘しました。

そして「変異株は感染が広がる速さが、1.5倍くらいから2倍近くになるのではという指摘がある。変異株が感染の主流になれば地域や施設で今まで以上のスピードで感染が広がるおそれがある。例えば高齢者施設でのクラスター対策を考えると、これまでは10人ぐらいで食い止めることができていたものが、変異ウイルスでは同じ対応でも20人などと広がってしまうことが考えられる。こうした事態が地方で起きればあっという間に医療体制がひっ迫することも想定される」と懸念を示しました。

そのうえで、求められる対策について和田教授は「変異株は行政や組織の対応という視点にたつと深刻な問題だ。これまでよりも早い判断、早い対応が求められるため、各自治体や施設で新型コロナウイルス対策の実践力が問われる。対策が本当に徹底できているのか、改めて確認して備える必要がある。一方で、個人レベルでは対策の内容は変わらない。手洗いやマスクの着用、3密を避けるといった感染リスクを抑える行動をとり続けることが重要だ」と話していました。

日本医師会 中川会長「スクリーニング 国に要請]

日本医師会の中川会長は、記者会見で「検査を強化している地域では、明らかに目立って変異株の発見率が上がっており、全国でスクリーニング検査を強化すれば、かなりの数の変異株が確認されるのではないかと想像される。現在の新規感染者が下げ止まっている状況についても、変異株の関与も指摘され、まだまだ気が抜けない状況で、スクリーニングをきちんと行うよう国に要請していきたい」と述べました。

国内拡大の経緯

イギリスなど海外で広がる変異した新型コロナウイルス。

国内で最初に変異ウイルスが確認されたのは去年の12月25日。

イギリスを出て、羽田空港や関西空港に到着した5人から検出されました。

その翌日、12月26日には東京都で、空港の検疫以外では初めて変異ウイルスが確認されました。

年が明けた1月、
▽6日には兵庫県
▽18日には静岡県
▽28日には埼玉県で、
空港の検疫以外では初めて変異ウイルスが確認されました。

この時期になると海外に滞在歴が無い、いわゆる市中感染したと見られる人も出てきました。

2月に入って、さらに地域が拡大し、
▽4日には神奈川県
▽9日には福島県、栃木県、群馬県、茨城県、新潟県、長野県
▽12日には山梨県と滋賀県
▽16日には京都府と鹿児島県
▽18日には岡山県
▽22日には大阪府で、
変異ウイルスの検出が初めて報告されました。

職場や保育園などで、変異ウイルスによるクラスターが発生したとみられる地域もありました。

3月になっても、
▽3日に千葉県と岐阜県で
▽5日に石川県で初めて変異ウイルスが確認され、その後、
▽広島県でも確認されました。

9日までに空港の検疫以外で変異ウイルスが見つかったのは、合わせて21の都府県となりました。

さらに10日は、北海道でも初めて感染が確認され、これを含めると22の都道府県となります。

空港検疫で17人の感染確認

厚生労働省によりますと2月23日から3月1日にかけて、国内の空港に到着した男女17人が、イギリスや南アフリカで感染が広がっている変異ウイルスに感染していることが新たに確認されました。

これで、検疫で感染が確認されたのは合わせて74人です。