EU ロシア製ワクチン審査開始 使用許可は慎重に判断する見通し

EU=ヨーロッパ連合の医薬品規制当局は、ロシア製の新型コロナウイルスのワクチンについて、審査を始めました。一方、規制当局の幹部は、安全に関するデータがまだ不十分だと指摘していて、ワクチンの使用許可を出すかどうかの判断を示すまでには時間がかかる見通しです。

EUの医薬品当局EMA=ヨーロッパ医薬品庁は、ロシアが開発した新型コロナウイルスのワクチン「スプートニクV」について先週、審査を始め、ワクチンを使用するための許可を出すかどうか検討しています。

ただ、EMAの幹部が7日、オーストリアの公共放送の番組に出演し、安全に関するデータがまだ不十分な状況だと指摘したうえで、スプートニクVについて「ロシアン・ルーレットのようなものだ」と述べました。

この発言に対してロシア大統領府のペスコフ報道官は9日、「不適切だ」と批判しました。

一方、ワクチンの海外供給などを行っているロシアの政府系ファンドなどは、イタリアでのワクチンの製造に向けて調整を進めているとしています。

ロシア製のワクチンについて、EMAが使用許可を出すかどうかの判断を示すまでには数か月かかる見通しですが、ロシアとしては、EMAの審査結果を待たずに各国に対する働きかけを強めるとみられます。