気象・災害

東京都 住宅や病院などの建物の耐震化率 目標達成は厳しい状況

首都直下地震などに備えるため、東京都は、東日本大震災から10年がたつ3月末までに、住宅や多くの人が利用する建物の耐震化率を95%以上とする目標を設けて取り組みを進めてきましたが、いずれも達成は厳しい状況です。
首都直下地震などに備えるため、東京都は、建築基準法や耐震改修促進法の基準を満たす建物の割合、耐震化率について、目標の数値を設けて取り組みを進めています。

このうち、戸建てやマンションなどの「住宅」と、多数の人が利用する病院やホテル、デパートといった「特定建築物」の目標は、東日本大震災から10年がたつ3月末までに95%以上としています。

「住宅」では、2019年度末時点の耐震化率は92.0%で、この5年では、1年で1ポイント程度の上昇にとどまっているため、都は「今月中の目標達成は、厳しい状況だ」としています。

「住宅」の耐震化率が上昇しない要因の1つに、都は木造の戸建てが86%と、90%を超える非木造と比べて低いことをあげています。

また、「特定建築物」の耐震化率は、2019年度末時点で88.4%で、目標をおよそ7ポイント下回っています。

2019年度末までの5年間の増加は3ポイントにとどまっていて、こちらも都は「達成は難しい」としています。

都は、今月、新年度・2021年度以降の5年間の目標を定めます。

この中で、「住宅」はこれまでの数値目標をなくし、「耐震性が不足する建物をおおむね解消」するとしています。

「特定建築物」は、引き続き耐震化率95%以上を目指すとしています。

都は区などと連携し、個別に住宅を訪問して直接、働きかけたり、老朽化した建物の取り壊し費用への助成を拡充したりして「住宅」の耐震化を進めることにしています。

また「特定建築物」については、関係者の合意形成や、改修計画の作成などを支援する専門家を派遣するなどして対策を加速させたい考えです。

木造住宅の改修促進に課題

木造住宅の耐震補強工事を行う事業者の組合によりますと、築年数が古い住宅ほど費用がかかる傾向があり、耐震基準を満たしていないことがわかっても、実際に建て替えや改修を行うのは3割程度にとどまるということです。

組合は、古い住宅には助成を拡充するなど、自治体の柔軟な対応が必要だと指摘しています。

耐震補強工事を行う工務店や設計事務所などでつくる「日本木造住宅耐震補強事業者協同組合」によりますと、組合の事業者がこれまでの15年間に都内で行った4000戸余りの耐震診断では、平均の築年数が37年で93%の住宅が、震度6強程度の地震で倒壊する可能性が高い、あるいは可能性があると判定されました。

このうち、世田谷区にある築55年の住宅で行われた耐震診断を取材すると、柱の傾きや壁のひび割れのほか、基礎部分に鉄筋が入っていないことなどがわかり、震度6強程度で倒壊する可能性が高いと判定されました。

所有する女性は、「東日本大震災でも、あまり影響がなかったのでこんなに耐震性が低いとは、思いも寄らずびっくりしました。補強工事をするか、これから考えたい」と話していました。

組合によりますと、耐震診断を受けた所有者が、実際に建て替えや改修を行うケースは3割程度だということです。

築年数が古くなるほど費用がかかる傾向があり、自治体の助成を活用したとしても負担が大きいと受け止められていることなどが要因だとしています。
組合の關励介事務局長は、「古い住宅に対する支援を拡充したり、耐震基準を満たさなくても耐震性を高める工事であれば助成を適用したりするなど、自治体の柔軟な対応が必要だ」と指摘しています。

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