欧米2社が開発のワクチン 特殊な注射器で接種回数1割増も

欧米の製薬会社2社が開発し、日本で承認申請が行われている新型コロナウイルスのワクチンについて、特殊な注射器を使えば1つの容器で接種できる回数を想定より1割増やせることが分かりました。

新型コロナウイルスのワクチンをめぐっては、日本で医療従事者への接種が始まっているアメリカの製薬大手ファイザーのワクチンについて、国内の一般的な注射器を使った場合、1つの容器から、想定より1回分少ない5回分しか採取できないことが明らかになり、厚生労働省が6回分を採取できる注射器の確保を進めています。

一方、厚生労働省はイギリスのアストラゼネカからも1億2000万回分、アメリカのモデルナからは5000万回分の供給を受ける契約を交わし、承認に向けた審査を行っていますが、いずれも1つの容器で接種できる回数が注射器によっては増やせることが、両国の保健当局や製薬会社への取材などで分かりました。

イギリスとアメリカは、1つの容器から採取できる量を原則10回分とし、厚生労働省も10回分の採取を想定していますが、特殊な注射器を使えば11回分を採取できるということです。

これについて、厚生労働省は「注射器しだいで接種回数を増やせる可能性があることは把握しているが、承認審査が終わっていない段階で詳しいコメントはできない」としています。

接種できる回数が増えれば、供給量の実質的な増加や接種の時期の前倒しにつながることが期待され、注射器の確保をめぐる国際的な競争はさらに激しさを増しそうです。