総務省 谷脇総務審議官を事実上更迭 NTT社長らとも会食で

衛星放送関連会社からの接待問題で懲戒処分を受けた総務省の谷脇総務審議官について、武田総務大臣は、総務省の調査でNTTの社長らとも会食していた事実が確認され、国家公務員の倫理規程に違反した可能性が高いとして、大臣官房付に異動させたと発表しました。事実上の更迭とみられます。

総務省の事務次官級の幹部、谷脇康彦総務審議官は、衛星放送関連会社に勤める菅総理大臣の長男らから違法な接待を受けていたとして、先月24日、懲戒処分を受けたのに続いて、NTTの社長らとも会食していたことが先週明らかになりました。

これを受けて、武田総務大臣は8日朝、記者団に対し、持ち回りの閣議の承認を経て谷脇氏を8日付けで大臣官房付に異動させたことを発表しました。

事実上の更迭とみられます。

武田大臣は「総務省の調査の結果、谷脇総務審議官のNTT側との会食は事実と確認され、国家公務員の倫理法令に違反する可能性が高いと考えている。本人には衛星放送関連会社からの接待問題の調査の際、ほかに倫理法令に違反する行為がなかったか、再三にわたって確認してきた。にもかかわらず、報道を端緒として新たな違反が疑われる行為が確認されたことは甚だ遺憾だ」と述べました。

そのうえで「幹部職員である総務審議官が公務における信頼を著しく失墜させた行為は誠に遺憾だ。改めて総務大臣として深くおわび申し上げる。引き続き調査を進め、徹底した真相究明を行ったうえで厳正に対処していく」と述べました。

また武田大臣は、谷脇氏の後任の総務審議官は当面置かない考えを示しました。

谷脇氏はおととし12月、総務審議官に就任し、中央省庁の再編により3つの省庁が統合されてできた総務省の旧郵政省系ではトップでした。

総務省の接待問題をめぐっては、衛星放送関連会社からの接待を受けていた幹部2人が先月19日、大臣官房付に事実上更迭されています。

記者の問いかけには無言

谷脇総務審議官は8日朝7時半ごろ都内の自宅を出る際、記者からの問いかけに無言のまま足早に迎えの車に乗り込みました。

事務次官に次ぐナンバー2 谷脇総務審議官の経歴

谷脇氏は、昭和59年に(1984)当時の郵政省に入省しました。

通信業界の担当が長く、総合通信基盤局の電気通信事業部で料金サービス課長や事業政策課長などを務め、端末の価格と通信料金を明確に分ける料金制度の導入では旗振り役を担いました。

内閣サイバーセキュリティセンターの副センター長などを経ておととし12月(2019)、事務次官に次ぐナンバー2の総務審議官に就任し、菅政権が携帯電話料金の値下げを主要な政策として掲げる中、値下げに向けた「アクション・プラン」をとりまとめるなど、携帯電話業界の競争を促す政策を推し進めてきました。

谷脇氏「違法会食ない」から一転 報道端緒に3件の出席認める

事実上更迭された谷脇総務審議官は、衛星放送関連会社に勤める菅総理大臣の長男らから、国家公務員の倫理規程に違反して去年までの3年間に4件、合わせて11万8000円余りの接待を受けていたとして、先月24日に減給の懲戒処分を受けました。

谷脇氏は、事務次官級としては異例の扱いで、参考人として国会に出席し、今月3日の参議院予算委員会では「意見交換などを目的に通信事業者といった利害関係者と会食する場合はあるが、国家公務員倫理法に違反する会食はないと認識している」と述べ、衛星放送関連会社からの接待以外に、違法な接待は受けていないと答弁しました。

しかし、その日に「文春オンライン」が谷脇氏が、NTTの社長らから過去3年間に3回、高額な接待を受けていたと報じました。

これに対し谷脇氏は、翌日の参議院予算委員会で、報じられた3件の会食に出席したことを認めたうえで「NTT側の申し出に応じて、提示された金額を負担したと思う。国家公務員倫理法には抵触していないと認識して報告していなかった」と述べました。

また、今月5日の参議院予算委員会では「会食の場で願い事を伝えられたことは全くないし、私から非開示の情報を提供することも断じてなかった」と強調していました。

参院予算委の理事懇談会 総務省担当者が調査の中間報告

8日朝開かれた参議院予算委員会の理事懇談会では、総務省の幹部2人がNTTの社長らと会食していたことについて、総務省の担当者が調査の中間報告を説明しました。

続いて開かれた理事会で、野党側は、衛星放送関連会社に勤める菅総理大臣の長男らやNTTの社長を参考人として委員会に招致するよう重ねて求めました。

これに対し与党側は、菅総理大臣の長男らについては「民間人の招致は抑制的であるべきだ」として慎重な考えを示す一方、NTTの社長については、政府も出資している特殊法人であることも踏まえて「しかるべき時期の招致を検討する」と伝え、引き続き協議することになりました。

立民 難波参院国対委員長「接待常態化 極めてゆゆしき事態」

立憲民主党の難波参議院国会対策委員長は、記者団に対し「接待が常態化していたのは極めてゆゆしき事態だ。中間報告ではNTT関係が報告されたが、それ以外の通信業者や放送業者との接待の有無についても調査の中で明確にすべきだ。谷脇氏の更迭は当然のことで、遅きに失したと指摘せざるをえない」と述べました。

官房長官「政策面の影響は出ていない」

加藤官房長官は午後の記者会見で、記者団が「総務省では調査の業務に加え谷脇氏の後任も不在で、携帯電話料金の値下げなどの政策に影響はないか」と質問したのに対し「現時点で政策面の影響は出ていないと思う。そういう影響が出ることがないよう後任の人事も含め、しっかり取り組んでもらいたい」と述べました。

さらに「NTTからの接待が発覚し、政権の看板政策に傷がつく懸念はないか」という質問に対しては「携帯電話料金の低廉化は大変、国民の高い関心があり、目に見える形で行われることが重要だ。各社からは料金の低廉化に向けたメニューが発表されており、まだ具体的にサービスが提示されていないものもあると思うが、逐次、具体的に提供されていくものと期待している」と述べました。