菅首相が福島の被災地視察 「国が責任持ち復興に取り組む」

東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故の発生から10年となるのを前に、菅総理大臣は、福島県の被災地を視察したあと、記者団に対し、今後も国が責任を持って復興に取り組む決意を示しました。

この中で菅総理大臣は「被災地で哀悼の意を表明し、今後も国が前面に立って、福島復興の取り組みを行うという決意を示す意味で訪問した」と述べました。

そして、原発事故のあと、帰還や移住をした人たちと意見を交わしたことについて、「10年を迎える中で、新しい方向で、まちづくりが進められているのではないかという、非常に期待感の持てる懇談だった」と振り返り、「これからの復興について、国がしっかり責任を持って取り組んでいきたい」と決意を示しました。

“いつまでも先送りすべきでない 責任持って方針を決定”

また、福島第一原発で増え続けるトリチウムなどの放射性物質を含む水の処分については「タンクが増加し、敷地がひっ迫してきている中で、いつまでも決定せず先送りすべきではない。適切な時期に、政府が責任を持って処分方針を決定したい」と述べました。

一方、原則として立ち入りが制限されている原発周辺の帰還困難区域のうち、避難指示解除の見通しが立っていない地域について、菅総理大臣は「地元の皆さんから強い要請を受けており、政府としては、たとえ長い年月を経たとしても、将来的に帰還困難区域のすべてを解除する考え方に変わりはない」と述べました。

帰還した人たちと意見交換

また、菅総理大臣は、昼前、津波で壊滅的な被害を受けた浪江町の沿岸部で犠牲者の慰霊碑に花を供え、黙とうをささげたあと、去年から稼働している、再生可能エネルギーを使った世界最大級の水素製造施設を視察しました。
このあと菅総理大臣は、町内の道の駅に移動し、原発事故のあと帰還や移住した人たちと意見を交わしました。
南相馬市に帰還した五十嵐理枝子さん(57)は、避難生活を送っていた際に勤めていた議員会館の美容院で、当時、官房長官だった菅総理大臣の散髪を担当していたということで、自宅と店を再建し営業を再開できたことを報告しました。

また、京都府から浪江町に移住し、道の駅の駅長を務める東山晴菜さん(35)さんは、「浪江町でたくさんのチャレンジが始まっているので、道の駅から発信し、温かい会話が聞こえるような場所にしたい」と話しました。

これに対し、菅総理大臣は「地元の人と、地方から来た人が交流することで、福島の復興に勢いがつき、明かりが見えてきたと強く感じた」と述べ、地域の再生に向けた取り組みを後押ししていく考えを示しました。

このほか、菅総理大臣は原発周辺の産業を再生しようと整備された、南相馬市の「福島ロボットテストフィールド」を訪れ、水陸両用バギーを使った救助訓練や、ドローン操縦の講習を視察しました。