ローマ教皇がイラクを初訪問 宗教や民族の融和訴える

ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が教皇として初めて中東のイラクを訪れ、長年にわたる戦争やテロなどによる心身の傷を癒やす必要があるとして宗教や民族の融和を訴えました。

フランシスコ教皇は新型コロナウイルスの感染拡大を受けておととし11月の日本訪問以来、中断してきた外国訪問を再開し、5日教皇として初めてイラクを訪れました。

首都バグダッドの空港でカディミ首相の出迎えを受けたあと、大統領宮殿で歓迎式典が開かれ、政府関係者などを前にスピーチを行いました。

このなかでフランシスコ教皇はイラクの人々が長年にわたって戦争やテロ、それに宗派対立によって破壊的な被害を受け、心身の傷を癒やすには時間がかかるとしたうえで「宗教や文化、それに民族の多様性は、イラクの社会にとって障害ではなく、貴重な財産だ」と述べ、宗教や民族の融和を訴えました。

フランシスコ教皇は8日までの滞在中、イスラム教の宗教指導者との対話や、過激派組織IS=イスラミックステートが支配した北部のモスルを訪れ、犠牲者に祈りをささげることにしています。

一方イラクでは、今月3日に西部にあるアメリカ軍が駐留する基地に複数のロケット弾が撃ち込まれるなど、治安の悪化が懸念されていて、教皇の訪問中、およそ1万人の治安要員が警備にあたることになっています。