ワクチン接種後に重いアレルギー反応報告 4万6000人余接種で初

厚生労働省は、新型コロナウイルスのワクチンの接種を受けた30代の女性に、重いアレルギー反応の「アナフィラキシー」が確認されたと医療機関から報告を受けたことを明らかにしました。

女性は救急処置を受け軽快しているということです。

厚生労働省によりますと、アナフィラキシーが報告されたのは30代の医療従事者の女性です。

医療機関からの報告によりますと5日、アメリカの製薬大手ファイザーなどが開発した新型コロナウイルスのワクチンを接種したところ、5分以内にせきが出て呼吸が速まり、まぶたの腫れや全身のかゆみなどの症状が見られたということです。

女性はその場で救急処置を受け、症状は軽快しているということです。

全国で接種を受けた医療従事者は5日午後5時までに合わせて4万6000人余りで、アナフィラキシーが報告されたのは初めてです。

女性にはぜんそくや甲状腺機能低下症などの基礎疾患があったということで、医療機関は「接種との関連がある」とする一方、「ぜんそくが要因となった可能性もある」と説明しているということです。

厚生労働省は、専門家部会で接種との因果関係を詳しく検証するとともに、
接種を受ける人は体調に変化がないか観察するため、会場に15分以上とどまるよう呼びかけています。

厚労省専門家部会委員「重いアレルギー 必ず問診票記載を」

新型コロナウイルスのワクチンについて、安全性などを評価する厚生労働省の専門家部会の委員2人がコメントを発表しました。

このうち専門家部会の部会長を務める東京医科歯科大学の森尾友宏教授は、「薬や食品などでアナフィラキシーなどの重いアレルギー症状を起こした人は、問診票に必ず記載してもらい、接種する施設で即時に対処できる体制を整えておくことが重要だ。詳細な情報を収集して症例を蓄積し、審議会で評価していく必要がある」などとしています。

また埼玉県立小児医療センターの岡明病院長は「基礎疾患として喘息のある人で、接種から5分以内にせきなどの呼吸器症状が出現し全身のかゆみやまぶたの腫れなども見られたことから、アナフィラキシーと診断されている」としたうえで「適切な治療で症状は軽快したと考えられる。どのワクチンにもアナフィラキシーを起こす可能性はあり、接種後少なくとも15分以上の観察期間の周知と、アナフィラキシーによる症状が疑われた場合の適切な対応が重要だ」などとしています。