米製薬会社 モデルナのワクチン 国内3例目となる承認申請

新型コロナウイルスのワクチンでは国内で3例目となる承認申請が、アメリカの製薬会社モデルナのワクチンで行われました。

モデルナが開発した新型コロナウイルスのワクチンについて、日本政府は、ことし9月までに5000万回分、人数にして2500万人分の供給を受ける契約を結んでいます。

流通などを手がける武田薬品工業は、5日、日本国内での使用に向け、厚生労働省に承認を求める申請を行いました。

モデルナのワクチンは、すでにアメリカやカナダなどで接種が行われていて、5日、アメリカでの治験のデータが厚生労働省に提出されたということです。

国内でもことし1月から20歳以上の日本人の男女200人を対象に治験が行われていて、ことし5月までにデータが厚生労働省に提出される見通しです。

新型コロナウイルスのワクチンをめぐっては、日本政府が供給を受ける契約を交わした欧米の3社のうち、アメリカの製薬大手ファイザーのワクチンが2月承認され、イギリスの製薬大手アストラゼネカのワクチンも2月承認申請が行われて審査を受けています。

田村厚労相「特例承認という形で審査」

田村厚生労働大臣は5日夕方、記者団に対し「4週間間隔で2回接種となっている。海外の治験データが添付されているが、国内の治験については、5月に主要なデータが追加的に提出されると聞いており、安全性・有効性を確認し承認の手続きをしていく。日本国民全員分のワクチン確保を目指しているので、特例承認という形で審査していく」と述べました。

モデルナ 「日本国内で開発されていく重要なステップ」

アメリカの製薬会社モデルナは「今回の承認申請は、われわれのワクチンが日本国内で開発されていくための重要なステップとなる。新型コロナウイルスから日本の国民を守るという目標の達成に向けて支援してくれた厚生労働省や治験に参加してくれた方々に感謝したい」などとコメントしています。

武田薬品工業 「一日も早く提供」

武田薬品工業は「日本でのワクチンの供給の実現に向け、治験に参加して頂いた方などに心より感謝を申し上げます。一日も早くワクチンを提供できるよう努めます」などとコメントしています。

モデルナのワクチン 一般的な冷凍庫で対応できる保管温度

モデルナのワクチンは、すでに国内で承認されているファイザーのワクチンと同様、遺伝物質の「mRNA」が使われています。

新型コロナウイルスの遺伝情報を体内に取り入れることでウイルスの一部を作り、免疫を獲得しようという新しいタイプのワクチンです。

すでに接種が始まっているアメリカでは、保健当局が、保管温度について、一般的な冷凍庫でも対応できるマイナス15度からマイナス25度と定めています。

ファイザーのワクチンも、同じ温度で14日間は保管できますが、長期間保管するにはマイナス60度からマイナス90度で冷凍する必要があるため、モデルナのワクチンのほうが保管や輸送がしやすいと見られています。

容器が未開封の場合は、2度から8度の冷蔵状態で30日間、8度から25度では12時間保管でき、開封した場合は、2度から25度の温度を保ったうえで、6時間以内に使い切る必要があるということです。

また、ファイザーのワクチンは、解凍したあと生理食塩水で薄めてから使用するのに対し、モデルナのワクチンは解凍後、そのまま接種に使えます。

接種回数はファイザーのワクチンと同じ2回で、1回目の接種から28日後に2回目の接種を受けることになっています。