「生理の貧困」を調査 学生の約2割“生理用品 買うのに苦労”

コロナ禍でアルバイトができず、経済的に困窮する学生が増える中、生理用品が買えなくなるなどして日常生活に支障の出ている人がどのくらいいるか、インターネットでアンケート調査したところ、買うのに苦労した経験がある学生はおよそ2割に上りました。また生理が原因で学校を休むなど、生活に支障が出ている人も5割近くに上ることが分かりました。

この調査はコロナ禍で経済的に困窮する学生が増える中、生理に関する啓発活動をしている若者のグループが、海外で社会問題として注目され始めているいわゆる「生理の貧困」について、国内の実態を調べようと行いました。

アンケートは高校生以上の生徒・学生を対象に、SNSで協力を呼びかける形で行い、今月2日までのおよそ2週間で671件の回答が寄せられました。

それによりますと過去1年間に、経済的な理由で生理用品を
「買うのに苦労したことがある」と答えた人は20%で、
「買えなかったことがある」と答えた人も6%いました。

「生理用品を交換する頻度を減らしたことがある」が37%、
「トイレットペーパーなどで代用したことがある」も27%に上りました。

また過去1年に、生理が原因で生活にどのような支障があるか聞いたところ、
学校を欠席や早退、遅刻したことがある人が49%、
アルバイトなどの仕事を休んだ人が31%、
就職活動などを諦めたことがある人が6%でした。

自由記述欄には、「生理用品の値段をもう少し安くしてくれたら生活費に回せる」といった経済的負担を訴える声のほか、「吐き気や食欲の減退、猛烈なだるさなどがあり、生理のせいで温泉や旅行を何度も諦めた」とか、「4月から就職するが生理痛がひどいためつらいときに会社を休まなければならなくなって、いろいろな所に弊害が出ないか不安」などといった、生活への支障を訴える声もありました。

調査団体 「想像以上に深刻な数字」

アンケートを行った「#みんなの生理」は、2年前に消費税率が10%に引き上げられた際、大学生が中心となって作ったグループで、生理用品への軽減税率の適用や学校での無料配布を求める活動を行っています。

共同代表の谷口歩実さんは今回の結果について「想像以上に深刻な数字が出たというのが正直な感想です。今までは海外で起きていることという雰囲気がありましたが、ほとんど同じような状況が日本でも起きていると分かりました」と話しています。

そのうえで「健康に関わるものを、節約のために不衛生な状態で使い続けている人がいるなど、この問題を社会でもっと認知して、生理で困っている人の環境を整える必要があると思います」と訴えています。

「#みんなの生理」では今後もアンケート調査を続け、さらに詳しく実態を調べることにしています。

日常生活に支障出た女性は

神奈川県内で専門学校に通う19歳の女性は、コロナ禍で経済的な理由から生理用品が買えなくなり、勉学にも影響が出ているといいます。

女性は父親と2人暮らしですが、幼い頃から折り合いが悪く、食費などのみずからの生活にかかる費用のほとんどをアルバイトで稼いで賄ってきました。

新型コロナの感染拡大前は飲食店などのアルバイトを掛け持ちして、月に合わせて13万円ほど稼いでいましたが、コロナ禍でシフトにほとんど入れなくなり、先月のアルバイトによる収入は2万円足らずまで落ち込みました。

学費の支払いに必要な奨学金を生活費に充ててしのいできましたが、新型コロナの影響が長期化する中、最近は食費を確保するのが精いっぱいで、生理用品を買うのを我慢せざるを得なくなったといいます。

女性は「バイトも緊急事態宣言でなくなり、まず食べていかないといけない。学校は何としても続けなきゃと考えた時、生理用品にかけているお金はないと思いました」と話していました。

父親には言いづらく、学校の友達に毎回、分けてもらうわけにもいかず、自宅にあった安いキッチンペーパーや厚手の布などで代用していますが、そうした日は経血で服などを汚さないか不安で、長時間の外出が難しくなったということです。

さらに女性は生理痛が重いため、痛み止めが欠かせませんが、薬を買う余裕も無くなり、通学やアルバイトを諦める日もあるといいます。

女性は「(生理でもアルバイトをして)給料を増やすために、今ここで生理用品を買うということができず、負のループが続いている感じです。生理用品が使えないことで病気になるのがいちばん怖いです。女性が一定の年齢になってから閉経するまでずっと使う、年間何万円も使う物なので、何か支援があればいいと思います」と話していました。