1都3県の緊急事態宣言 2週間程度延長の方向で検討 菅首相

首都圏の1都3県で続く緊急事態宣言について菅総理大臣は3日夜、総理大臣官邸で記者団に対し、今月7日の期限を2週間程度延長する方向で検討する考えを示しました。

新型コロナウイルス対策をめぐり菅総理大臣は、午後5時半ごろから総理大臣官邸でおよそ30分間、西村経済再生担当大臣や田村厚生労働大臣らと会談しました。

このあと菅総理大臣は記者団に対し、首都圏の1都3県で続く緊急事態宣言の扱いについて「感染状況を確認し今後の対応策を協議した。1都3県は今月7日に期限を控えているが、感染防止対策が極めて重要な局面と考えている。また病床もひっ迫している状況で、厳しく、ぎりぎりの指標もある」と述べました。

そのうえで「私としては国民の皆さんの命と暮らしを守るために、2週間程度の延長が必要ではないかと考えている」と述べ、今月7日の宣言の期限を2週間程度延長する方向で検討する考えを示しました。

そして菅総理大臣は「きょうの1都3県の陽性者数や病床、そうしたものを参考にしながら方向性を出させてもらったということだ。1都3県の知事の意見も当然、これから伺ったうえで判断したい。まだ2週間と決定したわけではないが、私は『2週間程度必要ではないか』という思いであるので、そうしたことをこれから専門家や関係者の意見を伺ったうえで、最終的には判断したい」と述べました。

一方、菅総理大臣は記者団が「どのくらいの基準になれば、宣言を安心して解除できるのか」と質問したのに対し「『ステージ3』では病床使用率が50%未満や、感染者数であれば東京だと500人を下回るとか基準が決まっている。やはり病床がひっ迫しているところがあり、ベクトルが下にいくことが大事だと思う」述べました。

1都3県の6つの指標は

政府の分科会は感染状況を示す4つのステージのうち、どのステージにあるか判断するための指標として、▼「病床のひっ迫具合」、▼「療養者数」、▼「PCR検査の陽性率」、▼「新規感染者数」、▼「直近1週間と前の週の感染者数の比較」、▼「感染経路が不明な人の割合」の6つを挙げています。

内閣官房は今月2日時点で、緊急事態宣言が出ている4都県と先月まで宣言が出されていた6府県の感染状況をまとめていますが、最も深刻なステージ4に該当する値はなくなりました。

なお、「病床のひっ迫具合」については、自治体の中にはすぐに受け入れることができる「即応病床数」を元に、国とは異なる値を公表しているところもあります。

1 病床のひっ迫

まず病床のひっ迫具合です。
病床使用率はステージ3が20%、ステージ4は50%が目安です。
病床全体の使用率は東京都で32%、埼玉県で42%、千葉県で49.7%、※ 神奈川県で29%です。
このうち重症者用の病床は東京都で33%、埼玉県で20%、千葉県で16%、神奈川県で15%となっています。

2 療養者数

続いて療養者数は人口10万人あたり、ステージ3が15人、ステージ4は25人が目安です。
東京都で22人、埼玉県で17人、千葉県で24人、神奈川県で11人です。

3 検査陽性率

最近1週間のPCR検査などの陽性率です。
目安の値はステージ3、ステージ4ともに10%です。
東京都で3.4%、埼玉県で2.7%、千葉県で5.1%、神奈川県で4.4%となっています。

4 新規感染者数

人口10万人あたりの新規感染者はステージ3が15人、ステージ4
は25人が目安です。
東京都で13人、埼玉県で9人、千葉県で14人、神奈川県で8人となっています。

5 直近1週間と前の週の新規感染者数の比較

直近の1週間と、その前の週の感染者数の比較は、目安の値はステージ3、ステージ4ともに1倍です。
東京都で0.83、埼玉県で0.73、千葉県で0.94、神奈川県で0.94となっています。

6 感染経路不明者の割合

最後に感染経路が不明な人の割合です。
目安の値はステージ3、ステージ4ともに50%です。
東京都で36%、埼玉県で31%、千葉県で26%、神奈川県で31%でした。

東京 小池知事「国と1都3県でしっかり連携」

菅総理大臣が首都圏の1都3県で続く緊急事態宣言について、今月7日の期限を2週間程度延長する方向で検討する考えを示したことについて、東京都の小池知事は「国において、1都3県の感染状況と医療提供体制を十分勘案されたうえでのものだと認識している。延長という考え方は基本的に都の考え方とも一致する。どういう形での延長が、その後の感染の拡大につながらないか、リバウンドしないかという極めて重要な期間になるので、国と1都3県でしっかり連携していきたい」と述べました。

神奈川 黒岩知事「総理の考え 重く受け止めたい」

神奈川県の黒岩知事は「総理の考えを重く受け止めたい」と述べ、少しでも早く解除できるよう、1都3県が足並みをそろえて対策の徹底に取り組む考えを示しました。

この中で黒岩知事は「2週間延長したいという総理の考えを重く受け止めたい。神奈川県だけをみれば、多くの指標がステージ2になるなど解除してもおかしくない状況だが、1都3県全体でみると残念ながら延長ということになりそうだ。県民の皆さんに、また負担をお願いすることになり申し訳ない」と述べました。

そのうえで「宣言によって感染者が劇的に減ったことは間違いないので、今後、2週間を待たずに解除できるよう、皆さんに対策の徹底をお願いし、なんとかこの状況を乗り越えていきたい」と述べました。

埼玉 大野知事「政府の判断は適切」

大野知事は「一刻も早く解除してほしいが、リバウンドすると医療機関の体力を奪うので、今回の政府の判断は適切だったと感じている」と述べました。

また、菅総理大臣から電話あり、2週間程度延長する方向で検討する考えを伝えられたということで、これに対して大野知事は、終わりが見える形での段階的な解除を求めたことを明らかにしました。

そのうえで大野知事は「今月7日の解除にならず申し訳なく思うが、気を緩めずに可能なかぎり早く解除に持っていきたい。県としても、できることをやっていきたいので、県民や事業者、医療機関に協力をお願いしたい」と述べ理解を求めました。