温暖化対策 飛行機のバイオ燃料

温暖化対策 飛行機のバイオ燃料
アメリカが地球温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定に復帰し、日本は「2050年までに、脱炭素社会の実現を目指す」としています。温暖化対策は、ますます重要になっており、入試問題にも出されています。

問題に挑戦!

問題
近年では、環境にやさしいエネルギーを検討すべきという議論もあります。とうもろこしやさとうきびなどからつくられ、自動車の燃料となるエネルギーはどれですか。
ア.バイオエタノール
イ.シェールガス
ウ.メタンハイドレート
エ.レアメタル
(横浜共立学園中学校 2020年)
正解は「ア.バイオエタノール」です。
バイオエタノールの文字どおりの意味は「生物からつくられたエタノール」。
問題文にあるとうもろこしやさとうきびのほか、木材、それに廃棄された食用油などからつくられています。

石油を使わないから「環境にやさしい」。
それはつまり「カーボンニュートラル」という考え方なんです。

カーボンニュートラルとは

植物を例に見てみます。植物って、成長しながら光合成をしますよね。
その際、大気中の二酸化炭素が吸収されて…
減った、と考えるんです。
この植物から作られたバイオ燃料が、車を動かすとします。
バイオ燃料だって、燃やせば、大気中に二酸化炭素を排出します。
ですが…
この中だけで見れば、二酸化炭素は増えていない、プラスマイナスゼロ。
これが「カーボンニュートラル」の考え方です。
燃料としては二酸化炭素を出すけど、もともと植物だった時に、その分の二酸化炭素を吸ってくれているから、トータルでプラスマイナスゼロ、ということなんですね。

この考え方のもとで開発が進んでいるのが、「バイオ燃料」。
車だけでなく、飛行機の世界でも注目されています。

バイオ燃料で空を飛ぶ

2021年2月4日の羽田空港です。
福岡に向かう、日本航空の旅客機に、バイオ燃料が使われました。
何から作られたかというと…
一般の人から回収した古着です。そこから綿を取り出し、発酵させるなどして燃料にしました。国産としては初めて国際規格に合格したバイオジェット燃料で、日本の空を飛びました。会社によりますと、製造過程も含めると石油からつくられる燃料よりも二酸化炭素の排出量を抑えられるということです。
新型コロナウイルスの影響で、航空業界はいま大打撃を受けていますが、バイオ燃料の導入は積極的に進めようとしています。
なぜなのでしょうか。

飛行機は恥ずかしい!?

コロナ禍の前まで、世界で飛行機に乗る人の数は、増加傾向が続いていました。もちろん、二酸化炭素の排出量も増えました。
環境意識の高まりから、あることばが生まれたといいます。
運輸部門の温暖化対策に詳しい、三菱総合研究所の永村知之さんに聞きました。
永村さん
「最近よく聞くようになったことばとして、『飛び恥』ということばがありまして、これがスウェーデンから始まって、ヨーロッパを中心に広がっています。航空機というのが、どうしてもエネルギーを大量に消費してしまう輸送機関であるということで、これをできるだけ使わないほうがいいのではという感覚が、若者を中心に広まっています」
『飛び恥』…恥と言われるほど、そんなに飛行機、航空業界に対して厳しいのでしょうか。
永村さん
「温暖化に悪い影響があるのではという印象がどうしてもあります。短距離のフライトを一部取りやめて、鉄道輸送にシフトするよう促したり、夜行列車を導入して、それを活用しやすくしたりする動きが始まっていると聞いています」
ちなみに、こんな試算もあります。
乗客1人当たり、1キロの移動で排出される二酸化炭素の量は、飛行機は鉄道のおよそ5倍にのぼります。

排出量を増やさない!

危機感を持ち続けている、航空業界。
ICAO=国際民間航空機関は、「2020年以降、国際線の航空機で二酸化炭素の排出量を増やさない」といった目標を掲げています。
これを達成するために欠かせないと考えられているのが、バイオ燃料なのです。
バイオ燃料は、どんな原料から作られているのでしょうか。
永村さん
「廃食用油です。廃棄物由来のものが使われているということが一例として挙げられますが、まだ、それほど多くの事例ができているわけではないので、これからもっといろんなタイプのバイオジェット燃料が出てくると思います」
日本では、藻の一種「ミドリムシ」などを活用したバイオジェット燃料の工場が造られています。国際規格として認められているバイオジェット燃料は、7種類。そのうち2つが、「藻」を使ったもので、日本企業が関わっているそうです。
永村さん
「世界的に見ても、アメリカと日本が、微細藻類を使ったバイオジェット燃料の研究では進んでいると思っています。まだ商業化に至っていない段階で、これからまだまだ、大規模化して安くできるか、大量に供給できるかというところが課題になると思いますが、大量に調達して安価に使えるバイオマス資源が乏しい日本では注目されています」
あえて、こんな質問をしてみました。
バイオ燃料は、カーボンニュートラルとしてどこまで効果があるでしょうか?
永村さん
「バイオ燃料を実際作ろうと思うと、原料を栽培したり、輸送したり、また原料から燃料を製造する工程で、いろんな形でエネルギーを投入したり、化学物質を補填(ほてん)することが発生するので、それによっていろんな温室効果ガスが排出されます。そういう意味で、一口にバイオ燃料と言っても望ましいバイオ燃料と望ましくないバイオ燃料があります。しっかり見ていかなければなりません」
ところで、自動車の場合は、バイオ燃料で走る車のほかにも、電気自動車とか、水素で発電する燃料電池車とか、いろいろ開発されていますが、飛行機はバイオ燃料を使っていくことになるのでしょうか?
実は、飛行機の場合、電池にするととても重くなり、飛ばすのにさらにエネルギーが必要になります。だから、比較的軽い、液体燃料であるバイオ燃料が選ばれているというわけなんです。しかも、いま開発されているバイオ燃料は、機体の構造を変える必要がなく、そのまま使えるという点もメリットがあるそうです。

永村さんによりますと、現在、世界で使われているバイオジェット燃料は、全体のわずか0.01%と普及への道は遠いですが、飛行機に乗るのが「恥」なんて言われないように、飛行機に乗りつつも同時に環境に負荷をかけないような仕組みが広まってほしいですね。
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