新型コロナ 回復した人の血しょうを使った治療法の試験開始

新型コロナウイルスに感染し、回復した人の血液の成分を患者に投与する「回復者血しょう」を使った治療について、国立国際医療研究センターは複数の医療機関で患者200人を対象に有効性を確かめる新たな臨床研究を始めたことを明らかにしました。

国立国際医療研究センターは、新型コロナウイルスに感染し、回復した人の血しょうを患者に投与する治療法の臨床研究を去年10月から始めています。

この治療法について国立国際医療研究センターの忽那賢志医師は2日開かれたメディア向けのセミナーで、新たに患者200人を対象にして有効性を確かめるための臨床研究を先月から始めたことを明らかにしました。

新たな臨床研究では、新型コロナウイルスに感染して中等症の症状が出た60歳以上か持病がある人を対象に、発症から5日以内に血しょうの投与を受ける人と受けない人に分けて投与から5日目までウイルスが減るかどうかを見て有効性を調べるということです。

この治療法は、アメリカでは緊急の使用が許可されていますが国内では臨床研究の段階で、これまで11人に投与が行われ、90代の患者1人が回復せずに亡くなったものの、投与に伴う副作用などは見られず安全性はある程度、確認できたとしています。

新たな臨床研究は5つの施設で行われる予定で、忽那医師は「さらに臨床研究を進め効果を確かめたい」と話しています。