諮問委 尾身会長「もろ手をあげて 無条件で賛成ではない」

首都圏を除く6つの府県での緊急事態宣言の解除が決まったことについて、諮問委員会の尾身茂会長は、26日夜行われた記者会見で、「きょうの諮問委員会の議論では、緊急事態宣言を1週間前倒しで解除することについて、端的にいってもろ手をあげて、無条件で賛成と言うことではなかった。解除の前倒しに対し、懸念がかなり強く表明され、私自身も同じような懸念を示した」と述べました。

具体的な懸念として尾身会長は「最も大きな懸念は、感染力が強い可能性のある変異ウイルスが、ほぼ間違いなく従来のウイルスから置き換わるプロセスが始まっているということだ。また、関西圏などで宣言を解除するというメッセージが伝わることが、首都圏を含めて人々が感染対策のガードを緩めてしまうということも強く懸念している。関西圏や中京圏、福岡でも感染が下がったといっても、去年夏の流行の第2波が落ち着いたときよりも感染のレベルは、まだまだ高く、解除に慎重になるべきだという意見が出た」と説明しました。

そのうえで、諮問委員会として解除を了承したことについて「率直なことばを使えば『条件付きの解除』だ。解除したとたんに、社会全体が緩み、感染がまた拡大するという事態は絶対に避けねばならず、変異ウイルスの監視体制を強化するなど、いくつかの対策が実行されることを前提に了承した。解除された後も、各府県の知事には、緊急事態宣言が出ている期間と同じ緊張感を持って対応に当たってほしい」と述べ、感染の再拡大を防ぐ対策を行う重要性を強調しました。

一方で、来月7日に期限を迎える首都圏の1都3県の緊急事態宣言の解除に向けた判断について、「東京都を中心とした首都圏の宣言解除については、ほかの地域に比べてより慎重に判断すべきだと考えている。首都圏は人口密度が高く、人の動きも多く、感染源が追いにくいという特徴がある。変異ウイルスへの懸念もあり、解除にあたっては、しっかりと説明がつくような判断をするべきだと思う」と述べました。