緊急事態宣言7週間 首都圏中心に感染減少のスピード鈍る傾向

緊急事態宣言が出されてから26日で7週間となります。感染状況を示す指標の1つで1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す「実効再生産数」をNHKが簡易な手法で計算したところ、緊急事態宣言が出ている10都府県ではいずれも感染者数が減る方向に向かっているものの首都圏を中心に減少のスピードが鈍る傾向がみられています。専門家は「首都圏では思ったほど改善しておらず、これまで以上に対策に努める必要がある」と話しています。

NHKは国立感染症研究所の鈴木基感染症疫学センター長の監修を受け、緊急事態宣言が出されている10都府県について、25日までのデータに基づいて簡易な手法で実効再生産数を計算しました。

実効再生産数は、1人の感染者から何人に感染が広がるかを示し、「1」を上回ると感染が拡大に向かう一方、「1」を下回ると収束に向かうとされています。

より正確に出すには発症日を推定して計算するなど、さらに多くの条件を考慮する必要がありますが、時間がかかるため、あくまで目安の数値として確認された日ごとの感染者数をもとに簡易な手法で計算しています。

※今後、公的な機関などが発表する実効再生産数のデータと結果的に異なる場合があります。

東京都

東京都の実効再生産数は、緊急事態宣言が出された▼先月(1月)7日時点で1.28、
▼先月14日時点で1.22と「1」を超えていましたが、
▼先月21日時点では0.94と「1」を下回りました。

その後、
▼先月28日時点で0.73、
▼今月(2月)4日時点で0.75、
▼今月11日時点で0.78、
▼今月18日時点で0.82、
▼25日の時点では0.84と収束の傾向は変わらないものの、感染が減少するスピードは今月に入ってからは徐々に鈍る傾向になっています。

神奈川県

神奈川県では
▼先月7日時点で1.11、
▼先月14日時点で1.45と緊急事態宣言が出されたあとに一度上がりました。

その後、
▼先月21日時点では0.97、
▼先月28時点では0.68、
▼今月4日時点で0.71、
▼今月11日時点で0.71、
▼今月18日で0.74、
▼25日の時点では0.95で「1」を下回っていますが感染が減少するスピードは鈍る傾向がみられます。

埼玉県

埼玉県では
▼先月7日時点で1.10、
▼先月14日時点で1.25、
▼先月21日時点では1.05、
▼先月28時点で0.73、
▼今月4日時点で0.89、
▼今月11日時点で0.80、
▼今月18日時点で0.83、
▼25日の時点では0.81と「1」を下回っています。

千葉県

千葉県では
▼先月7日時点で1.22、
▼先月14日時点で1.42、
▼先月21日時点で1.04、
▼先月28日時点では0.82、
▼今月4日時点で0.78、
▼今月11日時点で0.74、
▼今月18日時点で0.85、
▼25日の時点では0.98と「1」を下回っているものの感染が減少するスピードは鈍る傾向にあります。

1都3県

また、1都3県全体では
▼先月7日時点で1.21、
▼先月14日時点で1.30、
▼先月21日時点で0.98、
▼先月28日時点で0.73、
▼今月4日時点で0.77、
▼今月11日時点で0.76、
▼今月18日時点で0.81、
▼25日の時点では0.88で感染が減少するスピードが鈍る傾向が続いています。

愛知県

愛知県は
▼先月7日時点で1.05、
▼先月14日時点で1.13でしたが、
▼先月21日時点で0.91、
▼先月28日時点で0.85、
▼今月4日時点で0.66、
▼今月11日時点で0.81、
▼今月18日時点で0.78、
▼25日の時点では0.77と「1」を下回っています。

岐阜県

岐阜県は
▼先月7日時点で1.17、
▼先月14日時点で1.01、
▼先月21日時点で0.91、
▼先月28日時点で0.79、
▼今月4日時点で0.73、
▼今月11日時点で0.90、
▼今月18日時点で0.75、
▼25日の時点では0.67と「1」を下回っています。

大阪府

大阪府は
▼先月7日時点で1.26、
▼先月14日時点で1.31でしたが、
▼先月21日時点で0.96、
▼先月28日時点で0.82、
▼今月4日時点で0.72、
▼今月11日時点で0.70、
▼今月18日時点で0.76、
▼25日の時点では0.83で「1」を下回っていますが、感染が減少するスピードは鈍る傾向がみられます。

京都府

京都府は
▼先月7日時点で1.02、
▼先月14日時点で1.22、
▼先月21日時点で0.99、
▼先月28日時点で0.90、
▼今月4日時点で0.66、
▼今月11日時点で0.55、
▼今月18日時点で0.74、
▼25日の時点では0.65と「1」を下回っています。

兵庫県

兵庫県は
▼先月7日時点で0.97、
▼先月14日時点で1.33、
▼先月21日時点で0.98、
▼先月28日時点で0.84、
▼今月4日時点で0.70、
▼今月11日時点で0.68、
▼今月18日時点で0.76、
▼25日の時点では0.68で「1」を下回っています。

関西2府1県

関西の2府1県では
▼先月7日時点で1.12、
▼先月14日時点で1.30、
▼先月21日時点で0.97、
▼先月28日時点で0.84、
▼今月4日時点で0.70、
▼今月11日時点で0.67、
▼今月18日時点で0.76、
▼25日の時点では0.77となっています。

福岡県

福岡県は
▼先月7日時点で1.18、
▼先月14日時点で1.28、
▼先月21日時点で1.02、
▼先月28日時点では0.75、
▼今月4日時点で0.70、
▼今月11日時点で0.82、
▼今月18日時点で0.83、
▼25日の時点では0.71で「1」を下回っています。

全国

また、全国では
▼先月7日時点で1.18、
▼先月14日時点で1.27と「1」を上回っていましたが、
▼先月21日時点では0.96、
▼先月28日時点で0.77、
▼今月4日時点で0.74、
▼今月11時点で0.75、
▼今月18日時点で0.80、
▼25日の時点では0.85で「1」を下回っています。

専門家「1都3県 解除に向けこれまで以上に対策必要」

日本感染症学会の理事長で東邦大学の舘田一博教授は「減少の速度が鈍ってはいるが、全国的に確実に感染者数は減らし続けることができていて皆さんの努力と対策の効果で何とかここまで感染状況を抑え込めたと感じている。ただ、人口が多い1都3県は思ったほど改善しておらず、解除に向けてこれまで以上に対策に努める必要がある。解除が決まった地域も気を緩めず、大人数での会食はしばらく見送るなど、再び感染が拡大しないよう、油断せずに慎重に行動してほしい」と話しています。

また、関西の2府1県の感染状況について「感染者数の減少のスピードが鈍っていたが、大阪府以外は、少しずつだが再び数値が下がっており、実際の感染者数もこのところさらに減っている。ただ、このあと緊急事態宣言が解除となって気が緩むと再び感染が拡大しかねないためしばらくは飲食を伴う会合への参加や開催を見送るなど、注意して生活するべきだ。油断すると再び感染が拡大するのだという危機感を持って慎重に行動してほしい」と話しています。