アメリカ 1回接種のワクチン 緊急使用許可を判断へ

アメリカの製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソンが開発中の新型コロナウイルスのワクチンについて、FDA=アメリカ食品医薬品局は「臨床試験の結果、緊急使用の許可を妨げるような安全上の懸念は特定できなかった」と評価しました。FDAは近く専門家による委員会を開いて意見を聞いたうえで、3種類目のワクチンとして緊急使用の許可を出すか判断する見通しです。

ジョンソン・エンド・ジョンソンは今月4日、1回の接種で済むタイプの開発中のワクチンについてFDAに緊急使用の許可を申請し、現在、審査が行われています。FDAは24日、世界各国のおよそ4万人を対象とした臨床試験の結果を分析した詳細な資料を公表しました。

それによりますと、接種後28日目以降で接種した人とそうでない人のグループを比べたところ、中程度から重度の症状を防ぐ有効性は66.1%、重度の症状に限ると有効性は85.4%でした。

また臨床試験を行った国別では、変異ウイルスの感染が確認されている南アフリカでは、中程度から重度での有効性が64%、重度に限ると81.7%、ブラジルでは、中程度から重度での有効性が68.1%、重度に限ると87.6%と、初期段階の報告ではほぼ同様の有効性が示されたとしています。

また、安全性についてFDAは「緊急使用の許可を妨げるような安全上の懸念は特定できなかった」と評価しています。

FDAは26日に専門家の委員会を開く予定で、そこでの意見を踏まえて緊急使用の許可を出すかどうか速やかに判断する見通しです。

アメリカで接種が始まっている2種類のワクチンはともに2回接種が必要なのに対し、このワクチンは1回で済むため、接種のペースが加速することが期待されています。