ドイツに学ぶ地球温暖化対策

ドイツに学ぶ地球温暖化対策
世界の気温上昇に、歯止めがかかりません。私たちは、地球温暖化対策のために何ができるのか、考えましょう。

問題に挑戦!

問題
パリ協定は、1997年に地球温暖化対策のために採択された京都議定書と大きく異なる点があります。どのような違いがあるか答えなさい。
(共立女子中学校 2020年 改題)
温暖化については、入試問題でもよく出題されます。
「パリ協定」と「京都議定書」、2つとも聞いたことはあると思いますが、何が違うか分かりますか?
答えは…
「パリ協定は、先進国だけでなく発展途上国を含むすべての国に温室効果ガスを減らす目標の提出を義務付けた」
つまり、京都議定書は先進国だけに排出削減を義務づけましたが、パリ協定は、発展途上国を含むすべての国が削減目標を設けて対策を進めることを義務づけているんですね。

私たちは、どう取り組んだらよいのか、環境先進国といわれるドイツの市民の意識からヒントを探りましょう。

環境先進国ドイツ 市民の意識は

温室効果ガスの削減に、積極的なドイツ。再生可能エネルギーへの転換を進めていて、電力消費全体の4割を超えています。
メルケル首相
「世界中の大勢の若者たちを見ても、彼らの将来のために対応策をとることが求められている」
政府は、二酸化炭素の排出量が多い飛行機の運賃を引き上げ、鉄道の長距離運賃を下げるなど、大規模な温暖化対策を進めています。

それを後押しするのがドイツ市民の高い意識だと指摘するのが、ドイツ在住のジャーナリスト、熊谷徹さんです。
なぜドイツの人たちは、そこまで環境問題の優先度を高く捉えているのでしょうか。
熊谷さん
「ドイツ人は子どものころから、土曜日や日曜日には家族と森を散歩するというのが習慣になっています。大都市でも一歩外へ出ると、すぐ森があるわけです。それだけに、自然環境が破壊されるということに非常に敏感なんです」
環境が破壊される出来事を経験するたび、意識は高まっていきました。

ドイツ南西部の森の木々を枯らした、酸性雨。
旧ソビエトのチェルノブイリ原発事故では、国境を越えてドイツにも放射性物質が広がり、動植物や土壌が汚染されました。
このため、環境問題を隣国なども含めた広い視野で考える意識が根づいていると熊谷さんはいいます。

排出量が「見える」サイトも

そんなドイツ市民の間で広まっているある取り組みを、熊谷さんが紹介してくれました。
ドイツ連邦環境庁が公開している、二酸化炭素の排出量を計算できるサイトです。
暖房に使っているのは化石燃料か、再生可能エネルギーか。車を持っているか、などのデータを入力。
すると、自分が1年間に排出した二酸化炭素の量が計算され、ドイツ市民の平均と比べることができます。
熊谷さんの排出量は、年間およそ15トン。毎年1回、日本との間を飛行機で往復することも影響し、ドイツ市民の平均、およそ11トンより多くなりました。
熊谷さん
「私の知り合いで環境問題に非常に関心がある人がいて、会社への通勤は常に自転車、車も持っていない、飛行機にもなるべく乗らないという人がいるんですが、(排出量は)私の半分ぐらいでした。こうやって比べることによって、自分の暮らしをどのように変えたら二酸化炭素の量を減らすことができるのかを、みんな考えているわけです。環境にあまり負荷を与えない形で生活するのがクールな生き方、という考えを持つ人が非常に多いですね」

環境先進国ドイツ 企業の姿勢は

市民の環境意識が高いことが、企業の姿勢を変えています。
例えば、社員が飛行機で出張するときは二酸化炭素を排出するため、その分、植林などのプロジェクトに出資する取り組みや、企業活動のどの分野でどれだけ排出したかをウェブサイトで公開する取り組みなどが、大きな企業では広まりつつあるということです。
熊谷さん
「ドイツの経済ではお客様が、あなたの会社の『※カーボンフットプリント』はどれぐらいですかと聞いてきます。『二酸化炭素の足跡』が大きいと、そのお客様が、この会社と取り引きするのはやめようと思うかもしれません。日本の企業も、ドイツの企業が今直面しているように、真剣に取り組まざるをえない。そういう時代が来ていると思います」
(※企業のカーボンフットプリント=企業活動で排出される温室効果ガスの量の記録)

目指すは「脱炭素」と「経済成長」

脱炭素社会の実現には当然ながら、原発も含めてエネルギー政策をどうするか、根本的に考える必要がありますよね。一方でドイツの市民の意識の高さに驚きましたし、参考にもなりました。

EUでは、新型コロナで落ち込んだ経済の再生と脱炭素を同時に進める戦略です。環境分野に積極的に投資して新たな雇用を生み出すビジネスモデルを築こうとしています。

日本政府も2050年までに脱炭素社会の実現を目指しながら新たな経済成長につなげようとしています。
今後、世界の潮流になっていきそうですね。
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