コロナワクチン接種 不安やストレス軽減への対応も重要

新型コロナウイルスのワクチンの先行接種が先週から始まりましたが、接種に際しては、不安やストレスが要因となってめまいや過呼吸などの症状が引き起こされることもあり、専門家は特に今後、多くの人が接種する際に備え、相談体制などを整える必要があると指摘しています。

医療従事者を対象にしたワクチンの先行接種は、厚生労働省のまとめで22日までにおよそ1万2000人に対して行われていて、じんましんや寒気、手足が上がらないなど副反応の疑いがあるケースが3例報告されています。

接種に際してはこうしたケースとは別に、注射針への恐怖や針が刺されたときの痛み、ワクチンへの懸念など、接種自体への不安やストレスが要因となって、接種の前後に息切れやめまい、過呼吸などが起きる「予防接種ストレス関連反応」と呼ばれる反応が出ることがあり、WHO=世界保健機関はおととしマニュアルを出して、医療従事者などが見過ごさないよう呼びかけています。

特に集団接種では不安が広がることで症状が強まるおそれもあり、WHOのマニュアルによりますと、
例えば2009年に流行した当時の新型インフルエンザのワクチンの集団接種では、▽台湾の学校で12歳から15歳の9115人のうちおよそ4%にあたる350人に、
▽アメリカで軍の予備役の20歳以上の201人のうちおよそ7%にあたる14人に、
不安やストレスで引き起こされたとみられる症状が出たとしています。

このためマニュアルでは、医療従事者が接種を受けた人とコミュニケーションをとって不安を軽減することや、静かな場所で安静にして深呼吸をしてもらうといった対応が重要だとしています。

さらに今回はかつてない規模での集団接種になることから、政府の分科会メンバーで川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は「ワクチンの安全性は成分だけでなく、接種がどう行われるかにも影響される。落ち着いた雰囲気で接種が進められる環境を整備することが重要だ」と話し、丁寧に説明し、不安を感じたときには相談できる体制を整える必要性を指摘しています。