【新型コロナ】3社のワクチンの特徴は?日本への供給は?

日本政府は新型コロナウイルスのワクチンについて、アメリカのファイザーとモデルナ、それにイギリスのアストラゼネカの製薬会社3社との間で、供給を受けるための契約を交わしています。この3社のワクチンについて、アメリカのCDC=疾病予防センターやイギリス政府、日本の厚生労働省、それに製薬会社の資料をもとにまとめました。

ファイザーなど

アメリカの製薬大手ファイザーはドイツのバイオ企業、ビオンテックとともにワクチンを開発しました。

mRNAワクチンという種類で、新型コロナウイルスが細胞に感染するときの足がかりとなるスパイクたんぱく質を作るための遺伝情報「mRNA」を投与します。

体内でスパイクたんぱく質を作ることで、免疫の働きでウイルスを攻撃する抗体を作るよう促します。

mRNAは不安定で壊れやすい物質で、ワクチンの中では薄い脂質の膜で覆われていて、ファイザーのワクチンの添付文書によりますとマイナス90度からマイナス60度の超低温の冷凍庫での保管が必要とされてきました。

これについてファイザーは、2月19日、一般的な医療用の冷凍庫でマイナス25度からマイナス15度でも2週間にわたって保存できるとする新たなデータが得られたと発表しました。

ファイザーは、FDA=アメリカ食品医薬品局にデータを提出していて、この温度でワクチンを保管することについて承認を得たいとしています。

このワクチンは接種する前に必要な数の容器を解凍し、その後は2度から8度の冷蔵庫で最大5日間保管できます。

そして、接種の際には生理食塩水で希釈したあと、6時間以内に使い切る必要があります。

接種方法は筋肉注射で、腕の上の辺りから注射針を直角に刺して皮下脂肪のさらに奥にある筋肉に注射することになっていて、1回目の接種のあと21日後に2回目の接種を受ける必要があります。

日本国内でも承認され、政府は年内に7200万人分の供給を受ける契約を結んでいます。

2月中旬から医療従事者を対象にした先行接種が始まっています。

モデルナ

アメリカの製薬会社モデルナのワクチンも「mRNAワクチン」です。

こちらはマイナス25度からマイナス15度の冷凍庫で保管し、医療機関では2度から8度の冷蔵庫で30日間保管できるということです。

接種を行うときには室温などで解凍し、未開封の場合は8度から25度の室温で使える状態を12時間保つことができますが、使い始めた場合は、6時間以内に使い切る必要があります。

接種方法は筋肉注射で、1回目の接種のあと28日後に2回目の接種を受ける必要があります。

日本政府はことし9月までに2500万人分の供給を受ける契約を結んでいます。

アストラゼネカなど

イギリスの製薬大手、アストラゼネカは、オックスフォード大学とともにワクチンを開発しました。

ウイルスベクターワクチンという種類で、ウイルスのスパイクたんぱく質を作る遺伝子を無害な別のウイルスに組み込み、そのウイルスごと投与します。

すると、人の細胞に無害なウイルスが感染して新型コロナウイルスのものと同じスパイクたんぱく質が作られるようになり、それを受けて免疫の働きで抗体が作られます。

2度から8度の冷蔵庫で保管できますが、開封したあとは冷蔵庫で保管する場合は48時間以内に、室温では6時間以内に使う必要があります。

接種方法は筋肉注射で、1回目の接種のあと28日後に2回目の接種を受ける必要があります。

アストラゼネカは、厚生労働省に対して承認を求める申請を行っていて、日本政府との間で6000万人分のワクチンを供給する契約を結んでいて、厚生労働省が承認すれば国内の製造拠点から4000万人分以上が供給される見通しです。